2019年になり、いよいよ平成という元号もあと数か月で終わり、新しい時代が始まる時期になった。しかし、1月終盤から2月にかけてはインフルエンザが猛威を振るう季節でもある。実際、厚生労働省も、まだまだインフルエンザに対しての注意、警報を出し続けているのだ。
しかしそんな中、インフルエンザの予防には、なんと紅茶が最も効果が期待できるという情報を得たので、さっそく取材に赴いてみた。
実験で証明! インフルエンザウイルスの99.96%を無力化!
答えてくれたのは、自らも12年以上紅茶を飲用していて、その間、インフルエンザはもちろん、一般的な風邪にもかかったことがないという医師で、イシハラクリニック副院長の石原新菜(にいな)先生だ。
まずは、なぜ紅茶がインフルエンザ予防の効果が期待できるのかということから聞いてみた。
「みなさんが日常的に飲用しているものですから、そういった素朴な疑問を抱かれるのも当然ですね。その秘密は、紅茶に含まれる〝紅茶ポリフェノール〟が持っている力にあります」
ポリフェノールというのは、一般的にほとんどの植物が持っている苦味や色素の成分。自然界には5000種類上存在していると言われ、強い抗酸化作用を持っている。また、有害物質を無害に変換する、植物が自然界で生き抜くために自ら作り出した物質なのだ。
「インフルエンザウイルスは、表面にスパイクと呼ばれる突起状のタンパク質でできたトゲを持っています。そのトゲで喉や鼻などの呼吸器粘膜に取り付き、体内に侵入してさまざまな症状を引き起こすのです。しかし紅茶ポリフェノールは、スパイクを無力化して呼吸器粘膜の細胞に取り付く力をなくしてしまう能力を持っているのです」
紅茶ポリフェノールは、テアフラビンやテアルビジンという赤橙色のポリフェノール。茶葉の種類によって、多少の含有量に差があるものの、どの種類の茶葉を飲んでもインフルエンザウイルスのスパイクを無力化することが分かっている。するとウイルスは、細胞への感染力を失うため、ヒトへの感染も阻止できることが期待できる。
「三井農林さんが紅茶のインフルエンザウイルスを無力化する効果を確認した実験があります。試験管にインフルエンザウイルスを入れ、そこに試験液を混ぜて30秒間反応させ、その後、動物細胞を使って感染力が残っているウイルスの数を確認したものです。ウイルスに何も加えていない状態ですと、左の写真のように白濁した点ができて感染力があるウイルスが現れます。しかし、熱湯150mlに市販のティーバッグの茶葉2gを入れて1分間抽出した紅茶を常温に戻した試験液をウイルスに混ぜると、99.96%のウイルスが減少したのです」
これが紅茶ポリフェノールの威力だ。ポリフェノールを含む飲料に抗ウイルス効果があるのは紅茶だけでなく、緑茶のカテキンも有名だ。しかし、である。その中でも最も効果的なのが、紅茶であるということが、これもやはり三井農林の研究で実証されている。それを示したのが下のグラフだ。一方で、インフルエンザ対策として広まっている乳酸菌は、意外とウイルスには直接効果がないという結果が出たのも事実だ。