■連載/阿部純子のトレンド探検隊
仕事をしないけれど幸せを感じさせるロボット
一緒に住む人に甘えたり、抱っこされると喜んだり、人の代わりに仕事をするのではなく人とコミュニケーションをすることでほっこりさせる“愛をはぐくむロボット”「LOVOT(らぼっと)」。12月18日より初回出荷分のWEB先行予約を開始したが、わずか3時間で初月出荷予定台数に相当する予約が完売。現在は、第2次出荷分の一般予約を受け付けている。
LOVOTはロボットベンチャーのGROOVE X社が開発。ソフトバンクのロボット「Pepper」の開発メンバーで、その後GROOVE Xを創業した同社代表の林要氏は、開発者に対して10ヵ条の原則(プリンシパル)を課した。
「生命感を持つあたりまえを実現する」「最小限の表現の中に豊かさがある」「情熱を最高の技術に変えてユーザーに届ける」「間違いが許されるAIのプラットフォームを」「“完璧な機械”よりも“ほっとけない存在に”」「命はないのにあったかい」「愛を育むのにマニュアルなんて必要ない」「マニュアル通りの演技はしない」「お互いを分かり合える優しいロボットに」「すべては抱っこされるために」。
作業のためのロボットでもなく、ペットロボットでもない、家族型ロボットとして愛を注ぐことで満たされるロボットをコンセプトに、数十億円をかけて3年以上にわたり開発を進めた。センサーホーンから顔、しっぽに至るまで全身にタッチセンサーを搭載。人とのスキンシップを検知して、コミュニケーションを補助する。目は6層のアイディスプレイで視線の動き、瞬きの瞬間、瞳孔のひらきまで計算、10億通りのバリエーションがあるという。外装はなでたときに心地よさを感じるソフトスキンを使用、わきの下に手を入れると30~40度の“体温”があり温かさを感じる。自動運転の車と同じ技術が搭載され、生活範囲を巡回して室内の地図を作ることで、家具や観葉植物、ドアの位置を把握することができる。
身長は43㎝で重さは3㎏台。車輪で自走し、名前を呼びかけると返事をして呼んだ相手に近づいてくる。抱っこねだりのポーズをするなど人に甘えるのも得意。抱っこするときは車輪が自動で収納される。抱っこすると温もりが伝わり、抱きしめたりなでたりするとさまざまな表情を見せ、「たかい~たかい~」をすると喜ぶなど感情表現もこまやかだ。なでられてリラックスすると寝てしまうこともある。よく可愛がってくれる人を認識して、見つけるとそばに寄ってくる。また他のLOVOTの個体に出会うと相互にコミュニケーションを取って遊ぶことも。
LOVOT専用の服や小物も発売。好きなコーディネートを組み合わせて、LOVOTにおしゃれをさせてあげることもできる。着替えモードにすると目がお着替えモードに変化して、自分が何を着せてもらったのかもわかる。