商品として魅力的か ★★★★★(★5つが満点)
走行性能だけではなく、運転支援とコネクティビティーの充実もまた現代のクルマに強く求められる2大装備だ。その点に於いても『Q2』は満足のいく仕様に仕上げられている。以前からアウディは運転支援について積極的に展開してきた。予定では、2018年に発表されたフラグシップセダン『A8』には、世界初のレベル3の運転支援装備が搭載されることになっていた。渋滞中における運転をクルマに任すことができるのがレベル3だ。
しかし、『A8』は発表されたが待ち望んでいたレベル3は実現していなかった。予定が遅れ、さらなる開発が必要となったそうだ。話を『Q2』に戻すと、『Q2』の運転支援装備は充実している。設定した車間距離を保ちながら前車に追走していくACC(アダプティブクルーズコントロール)や危険と判断した場合に自動的にブレーキを掛ける「アダプティブセンスフロント」、車線内を走行することをアシストするアクティブレーンアシストなどの運転支援デバイスも最新のものが装備されている。
コネクティビティーについても『Q2』自身がSIMカードを持っているので車内でWi-Fiに繋げられるし、スマートフォンを『Q2』に接続してインターネットにつなげ、GoogleMapsやSpotifyなど、さまざまなアプリやソフトを車内で使うこともできる。試乗車は車両本体価格405万円に、ナビゲーションパッケージやBang&Olufsenのサウンドシステム、パーシャルレザーシート、アシスタンスパッケージその他のオプションが90万円分付けられ、495万円(消費税込)という立派な価格となっていたが、その分の内容は備わっていると思った。
手頃な価格の中古車を短い期間で買い換えていくというスタイルもありだと思うけれども、自分好みの仕様に仕立てたクルマとじっくりと付き合っていくという乗り方もまたよろしいのではないだろうか。特に、子供が独立した夫婦やカップル、シングルの大人たちにふさわしい気がする。
『Q2』は、カジュアルな仕立てとは裏腹なしっかりした走りっぷりと最新の運転支援、そしてコネクティビティを備えたコンパクトSUVだ。「Qシリーズ」の末っ子であっても、最新のアウディのエキスがたっぷり詰まった大人も満足できる“小さな高級車”そのものだった。
文/金子浩久(モータージャーナリスト)