【プレーバック 平成元年】外食産業の時給に見る30年前の人手不足
平成最後の年末・年始です。流行語大賞にはノミネートされませんでしたが、「平成最後の」はわりとメディアで使われた言葉じゃないでしょうか。というわけで、今から30年前の昭和63年、平成元年を「DIME」のバックナンバーで振り返ってみます。
バブル、人手不足の30年前。アルバイトで生活するフリーターなんて言葉もありました。今の若い人からすれば、さぞかしバイト代も良かったのだろうと思うでしょうが、実際どの程度だったのでしょう。平成元年6月15日号を見てみましょう。
<内需拡大の大型景気が、こんなところにまで余波を起こしている。何かといえば、外食産業を中心としたアルバイター時給額の異常ともいえる急騰現象だ。例えば、デニーズ南青山店の場合、「昨年の初旬は650円くらいだったのが、春には700円、年末には750円、そしてついにはこの4月、一律800円にまで値を上げました」>
他にも、ケンタッキーフライドチキン恵比寿店は半年で630円から700円に、山手線内側のファミレスの平均時給は4か月で700円から826円になるなど、外食産業の時給が急速に高まっていました。
さて昨今も人手不足が深刻化していると言われていますが、この当時の時給と比較してみましょう。
記事で紹介されたデニーズ南青山店の時給を調べたところ、ホール、キッチンともに1200円〜(高校生は1000円〜)でした。当時の1.5倍になってるじゃないですか。
ちなみに、筆者はこの時代、ピザの配達のバイトをしていましたが、時給は1000円以上はもらっていました。調べてみると、今の時給はドライバーで1150円以上とのこと。15%のアップです。
マクドナルドはどうでしょう。30年前は、赤坂店で940円だったとあります。現在の赤坂駅前店の時給は1000円。上昇率は約6%ですが、ここ30年の物価上昇率が6%程度だったことを考えると、割と妥当な数字なのかなという気もします。
しかし、30年前に時給をそれだけ上げたにもかかわらず、人手不足はほとんど解消されなかったそうです。
<今や留学生や年配気味の主婦の方をも頼らざるを得ない。そのうち、もっと深刻化すると定年退職なさった方なども、ファーストフード店のカウンターに並ぶようになるかもしれませんね>と、アルバイト雑誌の人がコメントしていますが、今もすでにそんな状況になっていますよね。
文/小口覺