【プレーバック 平成元年】30年前のセクハラ事情
平成最後の年末・年始です。流行語大賞にはノミネートされませんでしたが、「平成最後の」はわりとメディアで使われた言葉じゃないでしょうか。というわけで、今から30年前の昭和63年、平成元年を「DIME」のバックナンバーで振り返ってみます。
下手をすると人生が終わりかねないセクハラ。2018年も、さまざまなセクハラ問題が表沙汰になりました。しかし、セクハラはけっこう前からすでにメディアを賑わせていた問題です。セクハラに対する意識は、当時からどの程度変わったのか。DIME平成元年(昭和64年)1月1日号の特集を見てみましょう。
まずは、本文の冒頭から。
<すれ違いざま、OLのヒップやバストをサッとタッチ。それがあいさつ代わりになっているスケベ社員の1人や2人、どこのオフィスにもいるはずだ。しかし、これがアメリカだと、セクシャル・ハラスメント(性的いやがらせ)として訴えられてしまう。>
いやいや、今はさすがにいませんよ、そんな社員。キャバクラですらおさわり禁止ですからね。昨今の「#MeToo」もそうですが、この手の運動はアメリカから始まり日本に影響を与えるのがお決まりのコースです。
書き出しは今読むとびっくりしますが、記事の内容はいたってまじめです。まだ日本人にとって馴染みが薄いとして、ガイドラインや判例からふたつの定義を紹介。
(1)雇用上の利益を条件に性的関係、もしくは性的行為を強要すること
(2)性的な行動、言葉により、劣悪な職場環境をつくり出すこと
このふたつは、今も変わりません。さらに、米国で差別が問題視される社会的な背景、具体的にセクハラとされた事例が書かれています。
<オフィスにヌードのピンナップが貼ってあっても訴えられることがあるという。>
当時の日本では、「こんなこともセクハラになるのか!」と驚かれ、新聞やテレビで報道されていました。今どき、AVメーカーでもない限り、ヌードのピンナップが貼られている会社もないでしょう。
30年前よりはセクハラに対する意識が高くなっているのは間違いないようです。今では会社で「彼氏がいるの?」と尋ねるのもセクハラ認定される可能性があります。今後、どこまで厳しくなるんでしょうかね。
「性的いやがらせ」すごろく。「社員旅行で女性部屋にスッポンポンでもぐり込み女の子を追いかけまわした」なんてコマも。当時40代の人は、今70代。さすがに大人しくなってるでしょう。
文/小口覺