お笑いコンビ、マシンガンズの滝沢秀一さんは、6年前に子供の養育費を稼ぐため、ゴミ清掃業の世界に入り、清掃車にごみを収集する仕事を始めた。当初は、妊娠中の奥さんに要求された40万円を稼ぐためであったが、清掃業が性に合っていたのか、現在も芸人と二足の草鞋で続けている。
自身のTwitterでは時折、ゴミ収集時に気づいたことを投稿。それがウケて、11月に著書『このゴミは収集できません ~ゴミ清掃員が見たあり得ない光景~』(白夜書房)を出し、版を重ねている。
本書は、「テンガをペットボトルで捨てるなよ! これは可燃ゴミだ!」や「ビーズクッションは緊張する。回転板にまかれて破裂すると、中の細かいビーズが飛び出て、道路に散らばったそれは回収不可能」といったゴミ収集にまつわるウンチクばかりでなく、含蓄に富んだ見解も語らており、とても味わい深い1冊だ。
風雨の日のペットボトル回収などごみ清掃員の苦労も…(本書イラストより)
例えば、「ゴミ清掃員、格差を斬る」と題された章。そこで記されているのは、端的に言えば、金持ち宅のゴミと非金持ち宅のゴミにはそれぞれ特徴があり、ゴミ収集の経験を積んだ人には、この家の人は金持ちかそうでないかが、わかるという。
滝沢さんは、その現象に「金持ちになれるかもしれない思考」があるかもしれないと記している。
それは、とてもとても気になる話だ。金持ちと非金持ちのゴミには、どんな違いがあるのだろうか? 滝沢さんにそのあたりの話をうかがった。
非金持ち宅で圧倒的に多いゴミ
非金持ち宅で、圧倒的に目立つゴミとして挙げられるのが、酒の缶・ビンとタバコの吸い殻だという。特に正月明けの1月4日の新年の初回収では、「信じられないほど、発泡酒の缶や一升瓶が出される」という。
タバコの吸い殻については、水を入れたペットボトルに入って捨てられているのが多いそう。
酒・タバコに次いで目立つのが、栄養ドリンクのビン。時には同じ種類の栄養ドリンクばかりが、1つのマンションからごっそり出るという。
非金持ち宅から、酒・たばこ・栄養ドリンクが多く出る理由について、滝沢さんは次のように分析する。
「非金持ち地域のゴミを見て、まず思ったことは『自分にも当てはまるなぁ』と感じました。僕自身、働いても働いても生活に全然余裕がうまれない、これはきっとワーキングプアにはまっている、世間でいう貧富の格差って奴かと漠然と誰かのせいにしていました。酒、煙草はもちろんのこと栄養ドリンクが瓶回収の箱いっぱいに捨てられているのを見た時、『これ一体いくらになるんだろう?』と考えました。これを節約しただけで、だいぶ余裕が出るんではないかと思ったのです。それからというもの、酒、煙草を控え、栄養ドリンクも習慣化するのをやめようと思ったのです。買わなかった分を貯金箱に貯めるという新しい趣味が見つかりました(笑)」
一方、金持ち宅やタワーマンションでは、ゴミに酒が出てこないわけではないが、「見たこともないラベル」のおそらく高級なワインが回収箱に詰まっているのを、しばしば見かけるという。ペットボトルゴミについては、高級なミネラルウォーターやウォーターサーバーの大型特殊ペットボトルが多いとも。