房野氏:ファーウェイは今年、3大キャリアに新製品を納入しましたね。
法林氏:そうだね。
石川氏:納入したし、ハイエンドで入ったところもあるし。
房野氏:来年も勢いは続きそうですね。
石川氏:続く。ただ、ようやくハイエンド端末でキャリアに入ったけれど、総務省の提言で分離プランが入ってくることによって、ちょっと出鼻をくじかれた感じもある。来年は3万円台の戦いになってくると思う。
法林氏:3万円と5、6万円あたりだね。ミッドレンジとエントリー。
石川氏:そこの戦いになってくるので、そこではファーウェイに分があるような気もするし、LGとかも、もうちょっと安い値段で勝負する感じになるだろうし。
法林氏:Android One X5は7万7000円くらい。割引はされるけど。
石川氏:シャープの「AQUOS sense2」が強いけれど、本当に3万円台の戦いになるだろうな。
法林氏:あのレンジの争いは熾烈だよ。
房野氏:ところで、ドコモの「P20 Pro」は売れているんですか?
石川氏:ちょっと厳しいみたいですね。関係者に話を聞きましたけど、ゼロからユーザーを作っていかなきゃいけないので、それが大変だということでした。ユーザーは同じメーカーの端末に買い換える傾向があるので、なんだかんだサムスンユーザーもいるし、新たに買ってもらうのは大変なんだなと。
石野氏:僕らは“お城”を見たり、実際の端末を発表会で見たりしているので良さがわかるけれど、一般の人、特にドコモユーザーからすると、いきなりポッと出てきた名前の読み方もよくわからないメーカーの端末で、ライカだからカメラがいいんだなくらいは、かろうじてわかると思うけど、一瞬、躊躇しますよね。
石川氏:同じようにOPPOも大変だと思うけどね。
房野氏:OPPOは怒濤のごとく端末をリリースしましたが。
石川氏:あの勢いはすごいなと思うけど。
房野氏:来年はどうなるでしょうね。中国メーカーといえば、ZTEは回復しませんか?
法林氏:難しいんじゃないかな。よほどのことがない限り、無理だと思う。アメリカ云々というより、アメリカ製品の使用を止められたことで、日本のZTEが完全に停止しちゃうような状況になっていること事態がダメ。今回、ドコモから「ワンナンバーフォン ON 01」が出たけれど、あれはもっと早く出るはずだったんでしょう。
石川氏:だと思いますね。
石野氏:やっぱりそうなんだ。
法林氏:そう考えると、あれで止められて会社が傾いちゃうくらいになる時点で、すでに日本で戦っていくためには体力がなさ過ぎる。
石野氏:まぁ、でもやっぱり、売り上げが四半期分、丸ごとなくなると、どこでも厳しいとは思うので。アメリカも最近、悪い意味で影響力を発揮している感じがしますね。トランプ大統領は予測不可能じゃないですか。何を言い出すかわからない。で、OPPOも、基地局をやっていないから大丈夫かといえば、そうでもなく、たぶんアメリカに上陸して、ちょっと売れ始めたりすると、トランプが訳のわからないことを言い出したりする可能性がある。日本企業も同じですよ。
法林氏:昔は日本がいろいろいわれていた。
石野氏:今でも「日本はアメ車を買ってくれない」とかクルマに関していわれている。別に税金が高いから買っていないだけじゃなくて。
石川氏:性能が悪いからだよ。
石野氏:いいクルマがないからだよって。外車を買うならヨーロッパのクルマを選ぶ。BMWですら日本でそんなに大きな存在ではないし、ルノーと日産のゴタゴタを見てもわかる通りで、結局、日本には国産でいいクルマがあるのに、なぜわざわざアメリカのクルマを買うのかって話。ああやって難癖をつけるのがアメリカのやり方。
法林氏:2か国語がバイリンガル、3か国語がトリリンガルだけど、1か国語しかしゃべれないのはなんていうかといったらアメリカンという笑い話とのといっしょで、世界の中心は自分たちのアメリカだと思っている。
石野氏:オバマ大統領の頃は、よくコントロールされていたんだなっていうことがよくわかる。それに、なぜかトランプ大統領はAppleを叩いていますね。
石川氏:なんで、日本もアメリカも政治家がモバイルを叩きたがるんですかね。
……続く!
次回は、iPhoneの売れ行きについての話合います。ご期待ください。
法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。
石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。
石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。
房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。