●サブスクリプション方式で月額コストが発生する
妥協なしで作った『LOVOT』の価格は1体34万9000円とかなり高額だが、林氏によれば開発費などを上乗せせずに製造原価に近い価格設定であるという。『aibo』のようにインターネットに接続する必要はないが、使い続けるにはソフトウェア利用料を毎月支払う必要がある。つまりサブスクリプション方式である。さらに本体の故障や年に1度のオーバールホール費用をカバーするプランもある。修理費用とオーバーホール費用は数万円から数十万円かかることもあるため、実質、オーバーホール費用を全額自己負担するライトプランを選ぶ人はごく少数だろう。修理費用70%補償のスタンダードプラン(1万7990円)、または100%補償のプレミアムプラン(2万3635円)の二択になる。
来年発売されるのは2体セットの「デュオ」のみなので、料金は2倍になり、プレミアムプランでは年間43万6320円+本体セット59万8000円の合計103万4320円+消費税がかかる。『Pepper』は3年しばりで総額117万3528円という高額に驚いたが、『LOVOT』の年間コストはそれをうわまわっているのだ。「デュオ」でなく「ソロ」の場合でもプレミアムプランで28万3620円、スタンダードプランで21万5880円になる。これは本物のペットを飼うのと同じぐらいのランニングコストではないだろうか。『aibo』の本体価格19万8000円に年間コスト4万8000円が超ハイコスパに見えてくる。
本体を購入しても毎月ソフトウェア使用料と補償を合わせた月額料金が発生する。
●かわいいだけの存在でどこまで勝負できるか
『LOVOT』は人に愛されるために生まれたという。確かにカワイイ表情、カワイイ動き、カワイイ鳴き声などを備えている。搭載されたハイテク装備もほとんどがかわいがられるために使われる。人の仕事を助けないという点では『aibo』と同じである。三輪移動なので『aibo』より早く、遠くまで、静かに移動できる。抱き上げると車輪が収納されるというギミックもある。違和感があるのはセンサーホーンと呼ばれる頭の上に乗っているアンテナである。『LOVOT』は服を着ているので、余計に頭の上のアンテナが気になる。そのカワイイ仕草に魅了されて衝動買いすると、ケータイ料金を上回る月額使用料を支払うことになる。エンタメ系コンテンツをあえて排除することで、飽きられないロボットを目指した『LOVOT』が、3年目となり各地でリストラされている『Pepper』の二の舞にならないことを祈りつつ、来年秋の製品発売を楽しみにしたいと思う。
『LOVOT』のベースカラーはこげちゃ、ちゃ、うすちゃ。着替え用の服なども発売される予定。
文/ゴン川野