「酒の失敗」がよくニュースになっている昨今。酒が悪いのではなく、酒がどんな飲み物か理解しているはずなのに加減もせずに飲む大人たちのほうに問題があるわけだが、実際のところ、お酒、特に、昨今問題視されている飲酒運転について、世間の人たちはどれくらい危機感を覚えているのだろうか?
今回、社用車を運転しているビジネスパーソンや、マイカー通勤をしているビジネスパーソンが、普段、お酒とどのような付き合い方をしているのかアンケート調査が実施され、その結果が発表されたので、早速、紹介していきたい。
過信は危険!「自分はお酒に強い」 社用車ドライバーの4割強
はじめに、全国の20歳~69歳のお酒を飲む習慣がある社用車ドライバー(615名)とマイカー通勤者(185名)に(※1)、普段、どのくらいの量のお酒を飲むことが多いか、清酒に換算した(※2)調査が行われた。
社用車ドライバーについてみると、最多回答は「1合~2合未満」(38.5%)、次いで「1合未満」(34.8%)が多くなった。缶ビール(350ml)だと1~2本程度という人が多いようだ。マイカー通勤者についてみると、社用車ドライバー同様、「1合~2合未満」(36.8%)が最多回答で、「1合未満」(36.2%)がほぼ同率となった。
※1 本調査では、アルコール検知器での乗務前確認義務がある運輸業・郵便事業に従事している人は除かれている。また、マイカー通勤をしている社用車ドライバー(425名)は、「マイカー通勤者」ではなく、「社用車ドライバー」として集計。
※2 清酒1合(180ml)の目安として以下が提示された。ビール・発泡酒の場合は「500ml」、焼酎(25度)の場合は「110ml」、チューハイ(7度)の場合は「350ml」、ウイスキー(ダブル1杯)の場合は「60ml」、ワインの場合は「240ml(2杯程度)」
次に、自分はお酒に強いほうだと思うかどうかを聞いた調査が実施されたところ、社用車ドライバーでは、「非常にそう思う」が7.0%、「ややそう思う」が35.1%で、『そう思う(計)』は42.1%となり、マイカー通勤者では、「非常にそう思う」が7.6%、「ややそう思う」が30.3%で、『そう思う(計)』は37.8%となった。自分はお酒に強いと思っている社用車ドライバーやマイカー通勤者は少なくないようだ。
“飲み過ぎると一晩寝てもアルコールが抜けきらない” 社用車ドライバーの2割強が「知らなかった」と回答
お酒を飲むと、アルコールがからだから抜けるまでには時間がかかり、お酒を飲み過ぎると一晩寝てもアルコールが抜けきらない場合がある。
そこで、社用車ドライバー(615名)とマイカー通勤者(185名)に、≪お酒を飲み過ぎると一晩寝てもアルコールが抜けきらない場合があること≫を知っていたか聞いた調査が実施されたところ、社用車ドライバーでは「知っていた」が78.9%、「知らなかった」が21.1%となり、マイカー通勤者では、「知っていた」が71.9%、「知らなかった」が28.1%となった。
お酒を飲み過ぎても一晩寝たから大丈夫と思い、アルコールが抜けきらないまま車を運転してしまっていたという社用車ドライバーやマイカー通勤者もいるのではないだろうか。
次に、≪アルコールがからだから抜けるまでにかかる時間≫について知っていたかを聞いた調査において、社用車ドライバーでは、「知っていた」が59.2%、「知らなかった」が40.8%、マイカー通勤者では、「知っていた」が50.3%、「知らなかった」が49.7%となった。マイカー通勤者の半数は“アルコールがからだから抜けるまでにかかる時間”を知らなかったようだ。
また、社員が社用車を運転することがある企業の役員・経営者(200名)にも同じ質問が行われたところ、≪お酒を飲み過ぎると一晩寝てもアルコールが抜けきらない場合があること≫では「知っていた」が83.0%、「知らなかった」が17.0%となり、≪アルコールがからだから抜けるまでにかかる時間≫では、「知っていた」が65.5%、「知らなかった」が34.5%となった。
お酒を飲み終えるのは運転の何時間前? 社用車ドライバーの1割強が「意識していない」
それでは、社用車ドライバーやマイカー通勤者は、翌日に車を運転するとき、何時間前にお酒を飲み終えているのだろうか。
社用車ドライバー(615名)とマイカー通勤者(185名)に、車を運転する何時間前にお酒を飲み終えることが多いかを聞いた調査において、社用車ドライバーもマイカー通勤者も、最も多かったのは「12時間以上前」(社用車ドライバー24.7%、マイカー通勤者31.4%、以下同順)で、「10時間くらい前」(21.1%、16.8%)や「8時間くらい前」(20.5%、16.2%)にも回答が集まった。また、「意識していない」といった回答は、社用車ドライバーでは11.2%、マイカー通勤者では13.0%だった。
アルコールが抜けるまでの時間は、体格や体質、体調などによって異なるが、体重が65kgの人の場合、お酒を2合飲むとアルコールが抜けるまで6~7時間程度、3合飲むと9~10時間程度かかるといわれている。
日頃の飲酒量別にみると、2合~3合未満の人でも「6時間未満」(2.4%)といった回答がみられ、3合以上の人では「6時間未満」が1.1%、「6時間くらい前」が8.8%、「7時間くらい前」が6.6%、「8時間くらい前」が17.6%という結果に。アルコールが抜けきっていないにもかかわらず運転してしまうということがないように、飲酒と運転の間隔を十分に空けるよう普段から意識することが大切なのではないだろうか。
次に、社用車ドライバー(615名)とマイカー通勤者(185名)に、≪翌日車を運転するのに、ついついお酒を飲み過ぎてしまうこと≫はあるか聞いた調査において、『ある(計)』(「よくある」「ときどきある」「1~2回ある」の合計、以下同様)は、社用車ドライバーでは43.9%、マイカー通勤者では30.3%となった。
また、自分はお酒に強いと思っている人についてみると、『ある(計)』は58.1%となっており、お酒に強くないと思っている人(28.7%)の2倍以上の割合という結果に。自分はお酒に強いと自負している人ほど、車を運転する前日にお酒を飲み過ぎてしまう傾向にあるようだ。
車を運転する前日にお酒を飲み過ぎてしまったシーン。社用車ドライバーでは1位「会社の忘年会・新年会」
それでは、社用車ドライバーやマイカー通勤者が、翌日に車を運転するのにお酒を飲み過ぎてしまったのは、どのようなときなのだろうか。
翌日車を運転するのに、ついついお酒を飲み過ぎてしまうことがある社用車ドライバー(270名)とマイカー通勤者(56名)に、どのようなときに、お酒を飲み過ぎてしまったのかを聞いた調査において、社用車ドライバーでは、「会社の忘年会・新年会」が最も多く55.2%、次いで、「友人・知人との飲み会」が49.6%、「会社の歓送迎会」が41.1%となった。
また、「その他の会社の飲み会」は28.1%で、いずれかの会社の飲み会で飲み過ぎてしまった人の割合が産出されると71.1%(※3)となった。翌日に車を運転するのに会社の飲み会でお酒を飲み過ぎてしまったという社用車ドライバーは多いようだ。
※3 複数回答形式による質問のため、「会社の忘年会・新年会」「会社の歓送迎会」「その他の会社の飲み会」の各結果を合計した数字とは一致しない。
一方、マイカー通勤者では、「友人・知人との飲み会」が最も多く48.2%、次いで、「会社の忘年会・新年会」が44.6%、「会社の歓送迎会」と「イライラすることがあったときの晩酌」が30.4%という結果に。
「飲み会で飲まない人がいると場がシラケてしまうと思う」 社用車ドライバーでは2割
会社の飲み会でお酒を飲み過ぎてしまったという社用車ドライバーが多いことがわかったが、飲み過ぎてしまう背景には、どのようなことがあるのだろうか。
社用車ドライバー(615名)とマイカー通勤者(185名)に、飲み会に関する意識を聞いた調査において、≪飲み会で飲まない人がいると場がシラケてしまうと思う≫では、『そう思う(計)』(「非常に」と「やや」の合計、以下同様)は、社用車ドライバーで20.3%、マイカー通勤者で10.8%となった。
業種別にみると、≪飲み会で飲まない人がいると場がシラケてしまうと思う≫では、『そう思う(計)』は、建設業(25.5%)や不動産業・物品賃貸業(22.6%)、金融業・保険業(21.6%)が高くなった。
「先輩や上司からお酒を勧められると断りづらい」 社用車ドライバーの半数以上が同意
≪先輩や上司からお酒を勧められると断りづらい≫では、『そう思う(計)』は、社用車ドライバーで55.0%、マイカー通勤者で41.6%となった。会社の飲み会で飲み過ぎてしまった人の中には、先輩や上司から勧められたお酒を断れずに、お酒を飲み過ぎてしまったという人もいるのではないだろうか。
業種別にみると、『そう思う(計)』は、建設業で61.2%と他の業種より高くなり、医療・福祉(58.3%)や金融業・保険業(54.1%)、製造業(53.9%)、不動産業・物品賃貸業(51.6%)では半数以上となった。