食事による抗酸化成分の摂取の可能性
田邉先生は「そこで、我々は免疫力の減弱や風邪などにかかりやすいアスリートに対して、抗酸化物質を含む食物を毎日継続的に摂らせることで、免疫力の維持や疲労の軽減に良い影響をもたらすことが期待できると考えました。今回発表した研究※では、競技アスリートの激しい運動により発生が増加する活性酸素が身体へ与える影響を最小限にするための栄養素として、ビタミンCに注目しました。
ビタミンCは、抗酸化力の高い栄養素であることから、活性酸素による生体酸化を防いだり、免疫機能を維持したり、さらに、疲労の軽減にも役立つと考えられています。一方、ビタミンCは水溶性であるため、体内に貯めにくく、加熱すると壊れてしまうという特徴があり、新鮮な果物や野菜から日常的に摂取する必要があります。そこで、今回の研究では、キウイフルーツを選びました。なぜならば、キウイフルーツは多くの生鮮食品店で販売されているため、購入しやすいことに加え、比較的安価で手に入れることができ、手軽に摂取できることから、毎日摂取する果物として最適であると考えたからです。
10代の女子エリートサッカー選手にサンゴールドキウイフルーツを毎日1個8週間摂取してもらった結果、風邪発症や上気道感染症の諸症状は有意に減少し、また、血漿ビタミンC濃度の増加率が高いものは諸症状がより少ない傾向にありました。このことから8週間のキウイフルーツ摂取は女子エリートサッカー選手の免疫力に影響を及ぼす可能性が示唆されました」と述べた。
これを受けて田邉先生は「今夏の猛暑や、10月の大型台風の影響などでの寒暖差により免疫力が低下しやすくなっています。風を引かず、この秋を乗り切るには、手軽に摂取できるキウイフルーツでビタミンC補給がおすすめです」とアドバイスしている。
※. 日本体力医学会2018年9月7日(金)~9日(日)にて発表
(P-C-1-09)「キウイフルーツの摂取が女子エリートアスリートの免疫力に及ぼす影響」
構成/ino