日本人の平均寿命は年々延び、厚労省による最新のデータでは男性が81.09歳、女性が87.26歳と過去最高を記録、世界でもトップクラスとなっている。
しかし、将来的には他国に抜かれる可能性があるという論文が先日発表された。その一因は「肥満」。
現代の日本人男性の約3割、女性の約2割が肥満とされ、社会問題になっている。肥満は、糖尿病や高血圧といった重い疾患の引き金となり、寿命を下げる要因となる。そのため、肥満対策として様々なダイエットやエクササイズが出回っているわけだ。
ところで、何をもって肥満と判断されるのだろうか? 厳密には体脂肪の「量」が基準になるが、これを正確に測定する簡便な方法はないため、体脂肪の「率」を求めるのが一般的。この体脂肪率とは全体重に対する脂肪の割合のことで、(年齢によって多少異なるが)男性では27%、女性では35%あたりで、肥満の一歩手前の「軽肥満」とされる。男女とも、この値が5ポイントも増えると、立派な肥満である。
では、どうやって体脂肪率はわかるのか? 以下で説明したい。
生体電気インピーダンス法で測定する体脂肪計算機とアプリ
今では、自分の体脂肪率を自動測定できる機器が、数千円で買えるようになっている。以前は両手に持つタイプがあったが、現在は上に乗るだけで、体重を含め様々な数値が測定でき、スマホのアプリと同期できるものが主流だ。
こうした機器は、生体電気インピーダンス法を使って計測結果を出す。「インピーダンス」とは「電気抵抗値」のこと。機器から身体に微弱な電流を流すと、体脂肪は電気をほとんど通さず、一方で筋肉は電気をよく通す。言い換えると、体脂肪は電気抵抗値が高く、筋肉は低い。これを利用して、体組成を分析し、体脂肪率をはじき出すというメカニズムになっている。
ちなみに、生体電気インピーダンス法で、筋肉量も測定できる。この場合、筋肉の断面積が大きいほど電気が通りやすく、断面積が小さいほど電気が通りにくい性質に基づき、電気抵抗値を求め。身長データも加味した複雑な計算をして筋肉量を出している。
体脂肪計算方法のひとつ、キャリパー法
キャリパーという簡素な道具で皮下脂肪を測定し、そこから体脂肪率を導くのがキャリパー法だ。
皮下脂肪は、皮膚のごく浅い部分にあって外からつまむことができる。キャリパーは、そのように皮下脂肪を皮膚ごとつまんで、その厚みを測れるようになっている。
測る部位は、片方の上腕の背部(外側)と肩甲骨の下部の2か所。この2つの測定値を合計し、まず身体密度を求める。さらに、身体密度から体脂肪率を算出するという2段階の計算が必要となる。
ゼロコンマ何桁もの数値が使われるため計算は面倒だが、カシオ計算機のkeisanサイトには、キャリパー法で体脂肪率を計算してくれるコーナー「体脂肪率」があって便利。
キャリパー法は測定の仕方にコツがあり、極端な話、測った人によって数値が異なることがある。ただし、生体電気インピーダンス法のように体内の水分量によって値が変わってしまうリスクはないので、測定方法を会得すればキャリパー法にも利がある。