経済的に苦しい、もしくは“年金制度崩壊”というニュースを頻繁に耳にする中で、「将来、年金をもらえる保証がない」といった理由などで、国民年金の支払いを滞納している人もいるだろう。実際に、厚生労働省が発表したデータによると、平成29年度の国民年金の年金保険料の納付率は「66.3%」となっており、3~4割の人が年金保険料を滞納している。
「これだけ多くの人が滞納しているなら、自分も大丈夫」と思う人もいるかもしれないが、国民年金の支払いを滞納していると延滞金が発生したり、資産を差し押さえられる可能性もある。そこで今回は国民年金の支払いを滞納した場合のリスクや解決策について分かりやすく説明していく。
国民年金の未納に時効はあるのか?
まず初めに説明しておくと、会社員であれば、厚生年金保険料から国民年金保険料も合わせて給料から天引きされているので、年金保険料の滞納に関しては心配する必要がない。国民年金保険料に関しては、自営業やフリーターの人などが関係してくる話であり、国民年金保険料の納付率に影響してくるのは、こうした人たちの行動である。
そして、あまり知られていないかもしれないが、国民年金保険料の納付に関しては、「2年間」という時効が決められている。時効を迎えると保険料を収める必要はなくなり、また、督促行為を受けることもないといった仕組みだ。
しかし、実際はそんなに甘いわけもなく、“時効”は存在しているものの、基本的には“時効”が適用されない場合が多い。というのも、国民保険料が未納の人には一般的に最初は「特別催告状」という文書が届き、それでも支払わない人には、「最終催告状」が届く。そして、「最終催告状」が届いてからも何も行動を起こさない人に対しては「督促状」が送られることになる。この「督促状」が届いてしまうと、2年間という“時効”が中断し、適用外となる仕組みになっているからである。
国民年金の未納のデメリット
また、督促状が送られてきた場合は“時効”の効力が無くなるだけではなく、その時点で“延滞金”が発生してしまう。しかも、延滞金は年利14.6%とかなり高金利になっているので要注意だ。また、後ほど詳しく説明するが、最悪な場合は差し押さえにまで発展してしまうケースもあるので、とにかく「最終催告状」が届いた段階で何らかのアクションを起こす必要があるだろう。
国民年金未納支払い方法
国民年金保険料の納付期限は、「翌月末日」と法令により決められているが、納付期限を過ぎた場合でも、納付期限から2年以内であれば保険料を支払うことができる。また2年を過ぎた場合も、通常は時効により納付できないのだが、納付期間を延長する「後納制度」という仕組みも設けられている。後納保険料の申請・支払いは近くの年金事務所等で行うことができるので、少し経済的に余裕が出てきて払えるようになった人などは、将来もらえる年金受給額の減額幅を減らすためにも後納制度を利用したい。
未納分の年金は分割でも払える?
国民年金保険料を滞納していて、「特別催告状」などが届いている人は市役所の年金課や地域の年金事務所に相談に行けば、未納分の年金保険料を分割で支払うことができる場合がある。ただし、誰でも分割で支払えるわけではなく、「経済的に一括支払いが難しい」と判断された場合に限って認められる特例的な仕組みである。