●それでは『GFX 50S』はプロ用なのかハイアマチュア用なのか?
大石「とくに区別したことはありませんね。『GFX 50S』には現在7本の交換レンズがあり、その中にはズームレンズも含まれています。これはアマチュアにはズームが合った方が便利であると考えたからです。それからプロのニーズに応えて超広角のGF23mmF4 R LM WR(35mm換算/17mm)を入れています」
『GFX 50S』の交換レンズは7本、チルトアダプター、パワーグリップ、専用フラッシュ、ビューカメラアダプターなどのアクセサリーも充実したシステムカメラである。
サブ液晶にはトレンドの白黒反転タイプを採用。8項目の表示をカスタマイズでき、バックライト点灯できる。
左肩にあるのはISO感度選択ダイヤル。最低感度はISO100で、最高はISO1万2800。拡張でISO感度50と2万5600、5万1200、10万400が使える。
●中判サイズの『GFX 50S』の製品化でもっとも苦労した点はどこだったのだろうか?
大石「まず軽量化を考えました。いくら高画質でも重ければ機動性が悪くなります。そこでミラーレスにしてボディーを軽量化、さらにショートフランジバックとすることで、レンズの小型軽量化もはかっています。ボディーはEVF込みで920gです。見た目は大柄ですが、グリップのホールド感とレンズとのバランスがいいので、実際に構えるとそんなに重く感じないと思います」
確かに中判サイズの『GFX 50S』は、フルサイズ一眼レフ『D-850』の約1005gよりも軽く、カメラを構えるとしっかりホールドされ大きいが重いという印象はなかった。さらに今月、軍艦部がフラットになり重さ775gまで軽量化された『GFX 50R』も発売予定である。
スナップ撮影にも使える中判ミラーレスとして登場する『GFX 50R』は予想実勢価格約56万5000円で11月29日発売予定。
●他にもメカニズムでこだわった所はあるのだろうか?
大石「それからシャッターですね。一眼レフはフォーカルプレーンシャッターとミラーショックの振動が50Mクラスの画像をブレさせています。『GFX 50S』は電子先幕シャッターと電子シャッターを装備して、ショックレス、サイレントで撮影できます。さらに最高速1/4000秒のメカニカルシャッターも装備して、合計3種類のシャッターが選べます。手ブレ補正はボディー側に入れると大きくなってしまうので、レンズ側でおこなっています」
●中判用フジノンレンズの開発はサクサクいった?
大石「Xシリーズで好評を得ているAPS-C用レンズと同じ色収差にして欲しいと技術者に伝えたら、大変なことになりました。中判レンズはAPS-Cの4倍の面積をカバーする必要があります。レンズの口径が大きくなるほど収差や歪みは出やすくなるので、これを抑えるのが難しい。収差があるとコントラストの高い部分の輪郭にパープルフリンジが出たり、レンズ周辺ほどピントが甘くなります。中判レンズを作ってきた富士フイルムのノウハウを生かして完成に漕ぎつけました」
中判カメラはやはりいろいろ大変なことが分かったところで、1億2000万画素の『GFX100』の開発発表にさらなる衝撃を受けた。やらないと言っていたボディー内手ブレ補正を搭載、さらに中判で初めてカバー率約100%の位相差像面AFを採用、それから4K30pの動画撮影もできるという。102MのCMOSセンサーは裏面照射型を採用して、高解像度、高ダイナミックレンジ、低ノイズを実現する。レンズも新たに3本開発中である。