■連載/ゴン川野の阿佐ヶ谷レンズ研究所
Introduction
SONYに続き、Nikon、Canonからフルサイズミラーレスが発売され、来年はLUMIXも参戦予定。フルサイズで盛り上がるデジカメ業界だが、FUJIFILMの選択したのはフルサイズの1.7倍、APS-Cの4倍の面積を持つ中判ミラーレスFUJIFILM『GFX 50S』だった。なぜフルサイズを飛び越して、中判なのか、中判にしか撮れない写真はほんとうにあるのだろうか。Xシリーズとの使い分けはどうすればいいのか。富士フイルム 光学・電子映像事業部のトップマネージャー大石誠氏にお話を聞いた。
Interview
●最初の疑問はAPS-Cサイズからフルサイズへと進まずに、なぜ中判サイズまでいってしまったのか?
大石「もともと富士フイルムは、いろいろなフォーマットを研究していました。マイクロフォーサーズも1インチも中判サイズも4年以上前から検討しています。現在のXシリーズはX-Transを使い、我々が銀塩時代から培ってきたノウハウを注ぎ込んだフジノンレンズがあります。この組み合わせはフルサイズに迫る高画質を実現したと考えています」
「さらにフジノンレンズの解像度はAPS-Cサイズを超えると自負しています。それがフルサイズで本当に生かしきれるのかという疑問がありました。センサーサイズは中判にしないと、APS-Cとの差がハッキリ出ないのではと考えました。富士フイルムは中判用カメラレンズの歴史があるので、いいレンズを作る自信もありました」
●しかし、高解像度のレンズとセンサーがあっても、それを必要とするユーザーがどれほどいるのか。プロカメラマンでも2400万画素あれば問題なく、それ以上高画素化するよりはノイズ耐性を上げて欲しいという声も聞かれるようだが。
大石「風景をメインに撮るアマチュアにも中判のニーズはあります。また、プロカメラマンのなかにもファッション、コマーシャル、風景、そしてウエディングでフルサイズでも画素数が足りないという人は一定数存在しています。中判の方がトリミングできるから便利というプロもいます」
イメージセンサーのサイズは43.8×32.9mm、有効画素数は5140万画素もある。マウント径は65mmで12個の電子接点を持つ。ミラーレスの強みを生かしたショートバックフォーカスを採用。