口の中の変化に注意!
もし口の中がカラカラ・ネバネバ・酸っぱい・苦いと感じたら、口臭の発生には注意が必要だという。
●ネバネバを感じたとき
「舌が止まっていた証拠なので、上を向きながら舌を動かしてみてください。このとき、重要なのは視線・目線です。仕事中はどうしても目線が下向きになりがちなので、自然と奥歯を噛んでしまいます。奥歯を噛みしめると舌の動きが停止してしまい、唾液は流れず、口の中がネバネバしてきます」
●カラカラを感じたとき
「唾液の量が不足しているため、少し水を飲むと改善されます。水以外の飲料では、一瞬、喉の渇きは解消されますが、体の中で化成分解をしようとするため、逆に水分不足となり、喉の渇きが起こります。また、緑茶やコーヒーのように、ポリフェノールがたくさん含まれる飲料は、唾液分泌を阻害するので、たくさん飲む際には注意が必要です」
●酸っぱい・苦いと感じたとき
「酸っぱい、苦いと感じたら危険信号です。もともと唾液には、中和しようとする緩衝能力がありますが、口の中を唾液が中和するには、食後約30分ほどかかります。そのため、食べてすぐに歯を磨く人は、中和しようとする唾液を失ってしまいます。歯磨きでは取り切れなかった食べかすが、アミラーゼという消化酵素の働きにより分解され、酸性に傾き、口の中が酸っぱいと感じることがあります。食後にどうしても歯を磨きたい場合は、30分以上時間を空ける必要があります。
長い時間、口を閉じていると唾液の流れが悪くなり、口の中に発生した口臭ガスが、唾液に溶けることで苦みを感じることがあります。そのままの状態で会話を続けると、緊張時口臭を引き起こす結果となります。また、歯や歯茎、喉などに炎症産物があると、唾液がきれいに流れて行かないため、苦く感じることがあります」
本田先生自身も実践していた!
ところで、この出張・旅行中の口臭対策は、本田先生自身も実践しているという。
「私は毎週、講演をして全国各地を移動していますが、いつもガム法を実践しています。ガム法は人に悟られず行えるから便利です。また普段から道を歩くときは、できるだけ水平の目線を維持するようにしています。そして、なるべく水を摂取するようにし、水を飲むときには、同時に舌を動かすことも実行しています。このようにして、口には違和感がないように、といつも心がけています」
ガム法をはじめとした口臭対策、ぜひ出張中のみならず、日頃から実践してみよう。
【取材協力】
日本口臭学会常任理事 医療法人 ほんだ歯科
本田 俊一 (ほんだ・しゅんいち)先生
多くの人が気にする「口臭」だが、その研究が本格化したのは1990年代以降のことと意外に新しい。現在の日本で、口臭ならびに口臭症治療についての第一人者が同氏である。20年以上にも及ぶ治療・研究を積み、口臭の原因、最新医療情報、口臭症の治療法、口臭予防を熟知する。主な著書に「もう、口臭で悩まない!」(アーク出版社)
Dr本田の口臭バイブル https://www.honda.or.jp/
取材・文/石原亜香利