家庭用のコーヒーは、粉、ドリップバッグ、液体、そしてティーバッグのように淹れるコーヒーバッグとバリエーションが増えている。比較的、新しいコーヒーバッグは、あまり使い慣れていない人もいるだろう。そこで、10月3日開催のネスレ日本のイベントに登壇した世界一のコーヒーの抽出士である粕谷哲氏に、コーヒーバッグと本格ドリップコーヒーとの違いや、コーヒーバッグのコーヒーをおいしく淹れるコツを聞いた。
各社から発売されているコーヒーバッグ
コーヒーバッグとは、まるで紅茶のティーバッグのように淹れる方式のコーヒーの一種だ。いま、コーヒーバッグはどのブランドのものが市販されているのだろうか。
2016年3月に日本コカ・コーラ社から発売された 「ジョージアカフェ コーヒーバッグ」はアラビカ種100%のコーヒー豆がたっぷり9gも入ったメッシュのコーヒーバッグをカップに入れ、お湯を注いで1分待つだけでコーヒーが飲める。
キーコーヒーは「まいにちカフェ コーヒーバッグ」を発売し、お気に入りのマイボトルにコーヒーバッグとお湯を入れるスタイルを提案している。UCCは、「UCC コーヒーバッグDip In(ディップイン)」として働く女性に向けに“マイルドであまい香り”や“リッチなコク&深い香り”を展開。
ネスレ日本からは「ネスカフェ 香味焙煎」が出ており、20周年を機に2018年9月1日(土)より3つの味わいで一新した。世界でおいしいコーヒーの抽出技術を競い合う「World Brewers Cup 2016」で優勝した抽出士・粕谷哲氏と共に考案したという「DIP STYLE」はネスレ日本としては初のコーヒーバッグ式製品となる。
また、コーヒーチェーンのうち、猿田彦珈琲はコーヒーバッグを通販で展開している。
コーヒーバッグで淹れるコーヒーの素朴な疑問
身近に手に入るようになったコーヒーバッグ。抽出方法は従来の「注ぐ」ではなく、まるで茶葉のように「じわじわ抽出する」方式だ。そもそも茶葉と同じような抽出方法はコーヒーに適しているのか。「ネスカフェ 香味焙煎」のイベントに登壇していた抽出士の粕谷氏に尋ねてみた。
「もともとコーヒーの原産国では、豆をフライパンで炒って砕いたものをお湯に漬けて、不純物を取り除いて飲んでいます。それだけで美味しいコーヒーが飲めるので、浸して抽出するという飲み方も適しています。そもそもコーヒー自体、淹れ方に多様性がありすぎて、どう淹れるかということにこだわる人が少なくなってきています」(粕谷氏)
浸して抽出する方法は、特別、新しい手法というわけではないようだ。とはいえ、コーヒーバッグは、お湯にポンと入れた後、コーヒーが苦くなりすぎないかハラハラする。
「もちろん、ずっとコーヒーバッグを漬けたままにしていると成分がどんどん抽出して濃くなっていきます。一定時間までいくとコーヒー濃度が飽和状態になって、そこで抽出は止まりますが、そこに達するまで抽出してしまうと、確かに濃すぎて苦くなりすぎてしまいます。ですので、お好みでコーヒーバッグを取り出していただくベストな秒数を探っていただくといいと思います」(粕谷氏)