時代を作ってきたあのツーリングワゴンが姿、形、そして名前を変えて帰ってきた。もう1台は2013年の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した人気モデルのワゴン。今は、SUVの全盛期だが、はたして流れは変わるのか?
日本のステーションワゴンブームは、90年代に登場した『レガシィツーリングワゴン』の登場によって火がついた。その後、同車がワゴンブームを牽引してきたが、5代目が登場した09年には、対米輸出を重視した影響で車体が大型化し、それまでのオーナーが乗り換えるクルマがなくなってしまった。この時のユーザーたちの声が大きく、スバルは日本専用ワゴンを開発することを決断。こうして“スポーツツアラー”の『レヴォーグ』が生まれた。
一方、2013年輸入車として初めて「日本カー・オブ・ザ・イヤー」大賞を獲得した『ゴルフ』は、ワゴン『ゴルフ ヴァリアント』を発表した。こちらは、世界中で販売される国際戦略車だ。
今回、ボディーサイズもほぼ同じという日欧の“ベストセラー”ワゴンを乗り比べてみた。
『レヴォーグ』には1.6Lと2Lのターボがある。両方に足回りを強化した「S」と「アイサイト」搭載車がある。車両本体価格は『1.6GT』が266万7600円だが、購入者の80%が装着するという「アイサイト」搭載車は277万6000円。2Lモデルは最上位で356万4000円だ。個人的には『1.6GT』のアイサイト付きがベストバイだと感じた。乗り心地、ハンドリングともにバランスがとれている。サスを強化した「S」は日常の足としてはやや硬め。2Lモデルはスピードを求める人に向いている。
日本市場向けに設計されているが、室内はフロント、リアともにゆったり。ラゲージスペースも『レガシィ』同様に広く、サブトランクも使える。3世代目の「アイサイト」は、ステレオカメラの認識性能が向上。走行中の安全性能は、これまで以上に進化した。動力性能も6速AT、2モードSiドライブで軽快な走りが楽しめる。フルタイム4WDは全車標準だ。
『ゴルフヴァリアント』のパワーユニットは1.2Lと1.4Lのターボ。7速AT+前輪駆動の組み合わせだが、緊急ブレーキや9つのエアバッグは両車に標準装備。試乗した1.4Lの『ハイライン』には、自動追従走行やレーンアシストシステムなどが備わる。
1.4Lのターボエンジンは140PS、250Nm。これは『レヴォーグ』の1.6Lターボより出力は30PS低いがトルクは同値で、燃費では上回っている。
室内はフロント、リアともに狭くはないが、リアシートは『レヴォーグ』のほうが広く、ラゲージスペースも左右幅で差をつけられている。だが、330万円台の価格はFF車とはいえ、十分国産ワゴンと戦える設定だといえる。