■Performance
前回、好印象だった『ECP-SS-2』を比較すると、さらに透明感が増し、高域のヌケが良くなった。手嶌葵「Collection Blue/流星」(44.1kHz/16bit)はハイレゾ音源ではないがボーカルの息遣いがハッキリ分かる。歌いながらどこで息を吸ってはくかが聞こえてくるのだ。Apogee『Duetta Signature』で再生するとスピーカーのセッテイングが甘いことが露呈した。小型スピーカーの場合はボーカルの音像定位は極めて小さくシャープになる。こちらの場合、低域の解像度が上がるのでさらに量感が減って中高域よりのバランスに聞こえた。特に素晴らしいのは小音量再生でもギャングエラーが発生せず音像定位がいいことだ。
以前使っていた『Level Pilot』では音量をギリギリまで絞ると左側の音が小さくなったりしてバランスが崩れたが本機はいくら絞ってもボーカルはセンターにあり、深夜の小音量再生が楽しめるようになった。また、ヘッドフォンアンプに接続してアンプ側のボリュームをMAXにして、こちらのボリュームを使うと中高域の解像が上がり、もやもやが晴れて情報量がアップした。この音の変化はリファレンスDACを交換した時以来、最大だった。
■研究結果
やはりボリュームは音質の要だった。いくらDACとパワーアンプとスピーカーの性能を上げてもボリュームまたは、プリアンプがボトルネックになるのだ。DACのデジタルボリュームを使っても、DACプリにしても、この問題は避けて通れない。理想はハイエンドのプリアンプを使うことだが、デジタル音源を再生するだけなら良質なパッシブボリュームを使ってハイコスパで、ハイエンドプリに迫る、いやある面では超越した音が実現できるのだ。
今回はボリュームの高音質化によってスピーカーの問題点が浮き彫りになってきた。そして気になるのはDACとボリューム、さらにパワーアンプに接続するためのXLRバランスケーブルの音質である。ここを追求すればもっと好みの音質にできるに違いない。ということで次回はバランスケーブル試聴をおこなう!
●アルプス電気『RK50』は高信頼の日本製
●『highendvolume XLR』も手作りの日本製
●『highendvolume XLR』はカスタマイズを満喫できる
●『highendvolume XLR』は小音量再生に強い
●『highendvolume XLR』は鮮明で粒立ちのいい音
(文/ゴン川野)
オーディオ生活40年、SONY『スカイセンサー5500』で音に目覚め、長岡式スピーカーの自作に励む。高校時代に150Lのバスレフスピーカーを自作。その後、「FMレコパル」と「サウンドレコパル」で執筆後、本誌ライターに。バブル期の収入は全てオーディオに注ぎ込んだ。PC Audio Labもよろしく!