ドイツの高級車メーカー、ポルシェの2014年世界新車販売は、前年比17.1%増の18万9849台。2015年1?3月実績は前年同期比32.2%増の5万1102台と、初の5万台超えを記録。日本市場での販売も絶好調だ。そこで今回、最もお手頃な2台を比較試乗した。
一度は、ポルシェのオーナーになりたい! クルマ好きならこんな夢を描いたことがあるのではないだろうか。今や、国産の最高峰スポーツクーペ、レクサス『RC』が600万円台もする一方で、ポルシェのラインアップを見てみると、今年発売された『マカン』は639万円からという価格設定となっている。また、ミッドシップスポーツの『ケイマン』も629万円から選べる。それを考えると、より“身近な”存在になっているように思える。ちなみに『マカン』はSUVだが“5ドア5人乗りのスポーツカー”と称している。一方『ケイマン』もバランスのよさから、名車『911』より実力は上と、マニアの間でも評価の高いスポーツカーだ。
『マカン』は直4、2Lのターボエンジンを搭載した4WDの7速ATで、大ヒットした『カイエン』の弟分と言われている。しかし、ボディーサイズは全長こそ『カイエン』より175mm短いが、全幅は15mmしか変わらない1925mm。0→100km/hを7秒台で走り切る動力性能を持つ。トルクも1500回転から太く、3000回転以上になると、スポーツカー的な軽快さが特徴だ。ハンドリングも全高(1625mm)を感じさせない切れ味が楽しめる。ベースグレードではサスペンションなどに可変装置などはないものの、基本レベルの高さが感じられる。
乗り心地のほうも適度に上下動が抑えられ硬さもほとんど感じない。上級グレードの『マカンS』や『マカン ターボ』と比べても、遜色のない仕上がりとなっている。
一方の『ケイマン』だが、今回最もベーシックな6速MTを試乗。マニュアルのスポーツカーは少なくなったが、燃費やシフトスピードはATのほうが優れているものの、やはりダイレクト感が違う。これはポルシェ『911』も同じで、多少不便でもマニュアルを運転する楽しさはある。V6、2.7Lのエンジンは、軽めの吹け上がりで7000回転まで上昇する。これらもエンジンの出力特性は選択できるがノーマルモードでも2500回転からレスポンスが鋭くなるので、スポーティーなドライビングは十分楽しめる。クラッチペダルは重めだが、シフトはスムーズで、街中で走行しても6速までシフトできる。ちなみに6速60km/hを1500回転で走る。ハンドリングは重めだが、男らしさを主張。一般公道ではミッドシップカーらしく、ニュートラルな走りを楽しませてくれた。国産車にはまだ到達できない領域だ。
憧れのブランド、ポルシェのオーナーになるのもけっして夢物語ではない時代になったようだ。