国産プライベート潜水艇
足掛け17年の歳月と、開発費約20億円をかけた国内初の高性能プライベート潜水艇「JAPANG(ジパング)」がついに進水の時を迎えた。製造した太洋産業貿易によると、水に濡れることなく、会話を交わしながら海中散歩を楽しむことに魅力を感じ、開発に着手したという。
艇内は2人乗り。水中30mまで潜ることができ、水中での速度は最大5ノット(時速約9km)。潜るだけでなく上昇、下降、旋回、潜航・浮上など3次元航行も可能だ。特にこだわったのは、流線形のボディーと広い居住空間、ワイドな視界を両立した楕円形キャノピー。潜水艇では珍しいウオータージェットを採用し、高速で軽快な航行を実現しながら、安全性も重視したという。
「クルマでドライブを楽しむように、水中のスポーツカーとして、特別なクルージングを楽しんでいただきたいですね」(太洋産業貿易 代表取締役社長・今田圭介さん)
値段は、艇体と標準装備で1億9220万円(税抜き)。年間5〜10艇の生産を見込んでいるが、すでに中東の富裕層から4艇の注文が入ったという。人類の夢をかなえる唯一無二の存在。日本人の購入者にも注目だ。
〈DIMEの読み〉
レジャーのコモディティー化によって富裕層だけが楽しめる遊びが減っているだけに、こうした夢物語のような乗り物の開発の可能性はさらに広がっていくだろう。
半透明の楕円キャノピーも大きな特徴のひとつ。日本の職人技なくしてこの楕円形状はできないという。
空気循環装置が搭載されており、ニオイも瞬時に分散するので飲食も可能。タッチパネルによる集中制御で動かす。
取材・文/安藤政弘