音楽や音声に合わせて口を動かしたり踊ったりすることで15秒の短い動画を投稿するSNSが大ヒットしている。2016年に中国版がリリースされ、目下、世界150か国以上でのアクティブユーザーは2億人以上。日本版アプリの登場は昨年8月だが、拡散力の高いZ世代にマッチしたアプリだからこそ、ここまで大人気となった。その人気の秘密について分析しよう。
【中国発】【日本サービス開始2017年8月】【アクティブユーザー2億人】
驚異的な拡散性アプリ
「TikTok」は中高生に爆発的にヒットしている動画投稿SNSアプリだ。TikTokerと呼ばれる投稿者は一瞬にしてフォロワー(自分の投稿を見られるように登録した人)を増やし、瞬く間にスターになっている。
フォロワー数が約210万人と、ダントツ1位のTikTokerは小学6年生の野々山ひなたちゃんだ。
「投稿を始めたのは去年の8月です。今年4月の投稿で一気に100万人を超えました。その頃から街で声をかけられるようになり、有名なタレントさんと共演したり、生活がガラリと変わりました」
ちなみにひなたちゃんのフォロワー数210万人はタレントの小嶋陽菜や女優の深田恭子のInstagramのフォロワー数に匹敵する。
TikTokが人気となっている最大の理由は見飽きないことだ。ひなたちゃんの投稿も歌っていると突然、外の景色が映し出され、次にはぬいぐるみが登場し、カメラが回転するなど目まぐるしい場面転換で見続けてしまう。
アプリ分析を行なうフラーの調査によると、日本国内の利用者数は6~7月のわずか2か月間で倍増。主なユーザーは10代で、午前7時と午後6時に大きな利用のピークがある。情報配信力が強い中高生が通学時と放課後にこのアプリを見ているのだ。
TikTokを運営しているのは、中国のBytedanceという巨大IT企業。その爆発的なヒットの現状を広報担当者が話す。
「既存のSNSではフォロワーを増やすのは難しいですが、TikTokはユーザー数が爆発的に増加中のプラットフォームです。だからフォロワーを比較的増やすことが容易です」
圧倒的に支持されたInstagramを凌駕する勢いのTikTokの特徴を、SNSの分析・運用を行なうアンドゼン代表の堀越大樹さんが話す。
「TikTokの投稿で多いのは、流行のポーズやテーマを模倣した動画。マネをしているのに不思議と個性は出るもの。撮影のハードルが低いからこそ投稿したくなるのです」
実際、TikTokを見ていると、動画には「#だれでもダンス」「#め組のひと」「#いいアゴ乗ってんね」といったハッシュタグが付き、そのテーマに合わせた動画が続々とアップされている。つまり、同じようなテーマの動画が視聴され、投稿される。その連鎖が拡散性が高い理由のひとつだ。