■連載/ゴン川野の阿佐ヶ谷レンズ研究所
Introduction
NikonとCanonからフルサイズミラーレスが発表された。どちらもレンズ資産を生かすために純正のマウントアダプターがオプションに加わっている。私はNikonユーザーなので、手持ちのオールドニッコールレンズがどの程度、最先端フルサイズミラーレスで使えるのかが気になる。そこで『Z7』にマウントアダプター『FTZ』を借用した。この組み合わせでは使えるレンズには制約があり、特にAI改造していないレンズが使えないのが残念。具体的には1977年以前生産のカニ爪レンズが適応外となる。カンタンな見分け方はカニ爪の左右に穴があるかどうか。穴があれば使えるのだ。1997年までメーカーがAI改造をおこなっていたのでオールドニッコールでもAI化されている場合がある。これから中古レンズを探すならカニ爪の穴に注目である。
ざっとレンズ沼を見渡してみるとAI方式のレンズは20本以上あるので、『Z7』で遊ぶのに不自由はない。とは言えマイクロフォーサーズと違って昔のレンズは重いのでお気軽に何本も持っていけない。今回は直進式ズームの傑作『Nikkor 80-200mm F4.5』のAI 改造モデルを使う。200mm側で1.2mまで寄れるのがいい。何と1970年代のレンズである。EDレンズを使った80-200mmF2.8もあるのだが重いので却下。
もう1本はオールドではなくバリ新しいSIGMA『50mm F1.4 DG HSM』である。ラインArtの最高性能の標準レンズだ。超音波モーター採用、最短撮影距離は40cm、メイドインジャパンの逸品である。それから純正の標準ズームである『NIKKOR Z 24-70mm f/4 S』の3本で作例を撮影した。
Report
Nikon『Z7』はオーソドックスなインターフェイスを採用しているため、Nikonの一眼レフを使ってたユーザーなら迷わず使えるはずだ。特にグリップ周りのインターフェイスや階層化されたメニューは、今までのDシリーズの流れに沿っている。『EOS R』の斬新なインターフェイスもいいのだが、覚えるまでがやっかいである。その点、『Z7』は光学ファインダーがEVFになって軽量化されただけみたいな違和感のない操作性がいい。シャッターのフィーリングと音もいい。そして細部にわたって作りの良さが感じられる。さすが高級機である。『Z6』にもこの品質が生かされているのが素晴らしい。
AI化されたニッコールレンズならMF、絞り込み測光で使える。EVFは拡大表示できるのでピントはシビアに追い込めるのだ。
もちろん最新レンズであればAFが使え、CPUレンズであればレンズ内とカメラ内VRの両方が働き三軸の手ブレ補正が使える。
サブ液晶画面は黒背景の白ヌキ表示になり、ちょっと渋くて今風になっている。
ロック付きのモードダイヤルはユーザー設定モードが3つあり、非常に使いやすい。
大型の視度調整ダイヤルは回しやすく微調整が容易におこなえる。そしてロック付きだ。
液晶モニターは速写性に優れるチルト式を採用。私はバリアングルよりもこっちが好きだ。
メモリはXQDカードのシングルスロット。高価で高性能、PCに読み込ませる専用リーダーも必要。