■連載/ゴン川野のPC Audio Lab
Introduction
10月と言えば「真空管オーディオ・フェア」の季節であ〜る。例年通りに10月7日8日に秋葉原損保会館で開催された。ここでの見どころと言えば、最大規模の部屋に陣取って毎回満員御礼になるSUNVALLEYのデモである。大橋店主がMCを務め2日間に渡って10時半から18時半(2日目は17時)までビッシリとスケジュールが組まれている。初日はバイオリニスト渡辺玲子さんによるガルネリ・デル・ジェスの演奏をMUSIC BIRDが公開収録。2日目は新譜LP「Laidback 2018」発売記念トークショーがあり、井筒加奈江さんをはじめとして制作スタッフが登壇する豪華版。これを見ているだけで2日間が終わってしまう。入場料500円を払っても惜しくないイベントである。
私は残念ながら取材もあるためSUNVALLEYに貼り付いているわけにもいかず、他のブースを回って、主に真空管ビギナーにも入手しやすいハイコスパモデルを探してみた。
Report
●SUNVALLEY AUDIO
ビギナーに優しいハイコスパで作りやすい真空管アンプと言えば1616Dシリーズでお馴染みのSUNVALLEYのキットである。プリアンプ『SV-Pre1616D』5万9000円(真空管別売)をシステムに加えれば、真空管の音が手軽に楽しめる。プリを作ってから、どの真空管パワーアンプにすれば悩めばいい。シングルかプッシュプルか、三極管か五極管か、真空管オーディオ・フェアでじっくり試聴してから決めていただきたい。
ズラリと並んだSUNVALLEYの真空管パワーアンプキット。試聴会にも使われる。
私が気になるキットはKT150を使ったプッシュプルアンプ『SV-8800SE』32万5000円。橋本電気に特注したワイドレンジな出力トランスを採用。手配線を井桁に組み上げる難易度も価格もハイエンドなモデルなのだ。
『SV-Pre1616D』の内部配線のサンプル。中央にある青い基板が電源回路、その上のラグ板を使って手配線してある部分が真空管を使った電圧増幅段である。配線は比較的カンタンだが、左下のセレクター周りがちょっと面倒なのである。抵抗のリード線は直角に曲げられ、生真面目な枝ぶりに見える。
特価販売品もある真空管販売コーナーの隣には「Laidback 2018」のLPレコードが販売されていた。そのヨコには大橋店主の新刊が会場限定先行発売されていたが、宣伝臭いのであえて紹介はしない。
MUSIC BIRDはチューナーによる音質の違いを比較試聴できる。高音質チューナー『C-T100CSX』が欲しくなるといけないので聞かなかった。
●三栄電波
Allargandoというブランドの真空管アンプキット及び完成品を販売している。もともとはボリュームとコンデンサの専門店で、店舗は秋葉原にある。ロフチン型直結方式のアンプを得意とする。私が注目しているのは小型でハイコスパなMINIシリーズのプリとパワーアンプのペアだ。
『Allargando E-66SS-II』13万2500円(税込)。ロフチン型直結シングルステレオパワーアンプのキットで出力管はKT-66を使用。出力は約5W+5W。
画像上段『Allargando-MINI MINI-CA82』8万8000円(税込)。ロフチン型直結コントロールアンプ。出力トランスを使ったプリアンプ。入力4系統、出力1、REC/OUT1、使用真空管ECC82×4、290×180×160mm、約4.3kg。
画像下段『Allargando-MINI MINI-PA99』7万2000円(税込)。ロフチン型直結ステレオミニパワーアンプ。出力約0.8W+0.8Wでデスクトップやニアフィールドに最適。残留ノイズが少なく小音量再生が得意。使用真空管E88CC×2、ECC99×2、290×180×160mm、約4.2kg。
オペアンプのプロ、音松が作ったMM型専用フォノイコライザーアンプキット『DJ-01』9980円(税込)。オペアンプにはBB/OPA2134を採用。国産金属皮膜抵抗、WINA社のフィルムコンデンサを使い、エポキシ樹脂製両面プリント基板など音にこだわったモデル。別途電源にDC12VのACアダプタが必要。画像のケースは塗装済み。