ワインの高騰ぶりは、よく知られるところだ。僕がワインに目覚めたのは1995年、その頃はアルマン・ルソーとかポンソとかメオ・カミュゼとか、有名ワイナリーが作ったいい年の「ジュブレ・シャベルタン」クラスのワインを、ワインバーで飲んでも1万円台だった。もちろん、ボトルだ。抜栓してしばらく経つと、香りが上がってきたり、甘くなってきたり、やがて閉じてしまいそこまでと思いきやまた開く。そんな愉悦を繰り返せた。
若き日の「ロマネ・コンティ」
96年にはさるワインバー主催の「ロマネ・コンティ水平飲みの会」に参加、8人で1本の8杯どりで会費は5万円だった。ビンテージは忘れてしまったが、90年だったような気がする。「エシェゾー」に始まり「グラン・エシェゾー」「ロマネ・サン・ヴィヴァン」「リシュブール」「ラ・ターシェ」とグレードを上げていき、最後にドカンと値段があがる「ロマネ・コンティ」を飲んだ。既に酔っていた僕は、「ラ・ターシェ」と「ロマネ・コンティ」の差をあまり感じることができず、なんとなく不完全燃焼感が残ったものの、初「ロマネ・コンティ」は至福のイベントだった。
今ネットショップでの小売価格を見ると、「ロマネ・コンティ」は安くて200万円、他の4本を加えれば総額300万円近くになりそうだ。だが5種類を買えても、同じビンテージでそろえるとなるとできそうにない。会費5万円で8杯どり5種水平飲みのワイン会、今では夢のよう。僕の人生で、レッド・ツェッペリン初来日公演に行ったのと同じくらいに自慢できる出来事だ。
僕がワインにどっぷりはまった90年代後半から00年代にかけて、いいワインを多少ながら集めた。そのほとんどは海外旅行時に、あるいは海外のネット通販で買ったものだ。数例をあげると、5大シャトーなら92年の「シャトー・マルゴー」、85年の「シャトー・ラトゥール」、86年の「シャトー・ムートン・ロートシルト」、ロマネ・コンティ社なら91年の「リシュブール」、98年の「エシェゾー」、99年の「ヴォーヌ・ロマネ」などだ。どれももったいなくて、いまだ飲んでいない。
左から、92年「シャトー・マルゴー」、85年「シャトー・ラトゥール」、86年「シャトー・ムートン・ロートシルト」。
これらのワインをネット上で探すと、5大シャトーは多くのショップで売られていて、小売価格もさほど変わらない。僕の所有するワインは3本とも1万円台半ばから2万円くらいで買ったが、現在の小売価格は順に7万円、10万円、18万円くらいだ。一方のロマネ・コンティ社はネット上でも品薄、かつ同じビンテージでも小売価格に相当なバラツキがある。僕が探し出した限りでの安値を紹介すると、1万6千円で買った「リシュブール」は16万円、1万円強で買った「エシェゾー」が8万円、高島屋にて8000円で買った「ヴォーヌ・ロマネ」はなんと20万円だ。しかしながら買取業者に聞いたところ、ワインは劣化のリスクがあるので、買取価格は小売価格よりかなり低くなるそうだ。逆にまず劣化しないウイスキーや焼酎のようなハードリカーは、かなりいい価格で買い取るという。
左から、91年「リシュブール」、98年「エシェゾー」、99年「ヴォーヌ・ロマネ」。
僕の学生時代はウイスキー全盛で、飲み会といえばウイスキーの水割りが定番だった。サントリーの「オールド」は確か2300円で学生には高級品だったが、現在の希望小売価格は税別1880円と当時より安い。また「ジョニ赤」、「カティサーク」、「ホワイトホース」などのスコッチはさらに高級品で、3000円以上だったと思う。しかしやがてスコッチは並行輸入品が登場して価格は下落、いつの間にかありがたみを感じなくなっていた。だから僕はウイスキーなるものは、昔に比べておしなべて安いものだと思い込んでいた。
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