家庭内の事故で親の虐待が疑われる例が増えている
2歳以下の乳児は、頭が大きく身体のバランス感覚ができていないため、ちょっとの転倒でも頭を打つことが多い。そして、この時期は、頭の中の血管が切れて出血しやすく、アザやこぶがないのにけいれんや意識低下が起きるなど、急を要する事態になりやすい。
なにはともあれ病院へ行くことが大事だが、赤ちゃんは後遺症もなく無事退院できても、親が予想もしていない出来事に見舞われることがある―それは、「虐待の疑い」を持たれる可能性だ。
乳児が床でひっくり返ったのが原因なのに、「一時保護」ということも
8月に発売された書籍『赤ちゃんが頭を打った、どうしよう!? 虐待を疑われないために知っておきたいこと』(西本博・藤原一枝/岩崎書店)では、上のように家庭内でおきた乳児の転倒事故6例のマンガが掲載されている。
そのマンガを読むと、転倒の理由いかんによらず、病院内では虐待防止委員会が開かれ、、その結果3例では児童相談所からの自宅訪問を長期にわたり受け、1例では子供が乳児院へ入所させられている。どれも虐待の事実はないにもかかわらず……。
本書によれば、転倒事故によって乳児が急性硬膜下血腫や眼底出血を起こした場合、「病院から児童相談所に通告され、赤ちゃんは一時保護になり、元気になっても乳児院に入所となるケースが増えて」いるという。これは、乳児を前後に強く揺さぶったために起こる「揺さぶられっ子症候群」でも、急性硬膜下血腫や眼底出血が認められるためで、医師は症状からでは、家庭内の事故か虐待なのか区別がつきにくいことが根っこにある。
もしも、「虐待の可能性あり」と判断されると、児童相談所は最大2か月にわたり乳児を一時保護することになる。さらに、「虐待あり」と認定されると、乳児院に入所することになる。まったくの冤罪で、こうした親子分離が起きているのが現状だという。
祖父と両親の目の前で転倒 しかし虐待とみなされ4か月も乳児院に