メッセンジャー利用の仕事上のメリット
本間氏自身の利用状況と尋ねると、8割近くがすでに何らかのメッセンジャーでのやり取りとなっているそうだ。メールは重要書類などのエビデンスを残すとき利用するくらいで、すでに主となるオンラインコミュニケーションツールがメッセンジャーへと置き換わってきているそうだ。
LINEやFacebookメッセンジャーのようなメッセンジャーは、仕事上、どのようなメリットがあるだろう。
1.手軽さと親近感
「メールだと『お世話になっております。◯◯です。』などの堅苦しいビジネス用語が必要ですが、メッセンジャーでは必要ないため、互いに打ち解けやすく時短にもなります」
2.いつでもどこでも利用可能
「パソコンやスマートフォンなど、どんなデバイスでもログインすれば使えるのもメリットです」
3.削除ができる
「メッセンジャーは、間違えて送信してしまったときには、削除ができる場合もあります。メールだと送信後は削除不可能です」
4.グループ機能がある
「簡単に関連メンバーをアサインして、複数人でのコミュニケーションを図れるのはメリットです」
5.音声・ビデオ通話ができるものも
「緊急を要する場合はその場で電話やビデオ通話をしたり、音声録音で伝えたりできるものもあります」
メッセンジャーの併用は生産性を落とす大きな要因に
LINEやFacebookメッセンジャーなど、メッセンジャーの併用は、仕事にどのような影響があるのだろうか。
「現状は、『あの上司からはFacebookメッセンジャー』で、『同僚からはLINE』でのような環境になっているケースをよく見かけます。これは、生産性を落とす大きな要因になっています。本来はまず、仕事におけるコミュニケーションのあり方を考えるべきです。さまざまなオンラインコミュニケーションツールが発達している中、企業側は社内でのデフォルトツールを定義することが重要です。ポイントは、プライベートアカウントとビジネスアカウントを分けた運用を考えること。企業側が社内のコミュニケーションインフラを用意し、同じ環境下で情報を共有、コミュニケーション活性化することが大切です」
デフォルトツールが決まっていない会社では、社員は自分自身で適宜、仕事がスムーズにいくメッセンジャーを選んでいく必要がある。
「プライベートアカウントのメッセンジャーを使うなら、Facebookメッセンジャーはデータが残り続ける点、そしてプライベート情報の阻害が少ない点がメリットとして挙げられます。また国内では、ビジネスに特化したコミュニケーションインフラ導入としてChatWork(チャットワーク)なども人気です。特徴としては、プライベートな情報が入らず、社内でも社外でもビジネスとしてつながり合える仕組みがあることや、タスクを与えたり、検索性に優れていたりすることなどが挙げられます」
複数あるメッセンジャーを選ぶ際には、その機能はもちろんのこと、プライベートアカウントとビジネスアカウントのすみわけ、プライベート情報による阻害についても検討材料にするのがよさそうだ。
【取材協力】
一般社団法人IT顧問化協会 代表理事 本間卓哉氏
「経営にITを活かし、企業利益を上げる架け橋となる」をビジョンに、2015年10月に設立。認定資格eCIO®によるIT活用の専門家ネットワークを形成。全国の会計事務所とのパートナーシップで、企業のIT活用支援を加速している。
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取材・文/石原亜香利