「太っている人は、たいてい部屋が汚い」ということはよく耳にすることだ。しかし、部屋を片付けられないことと、太っていることには、関連性がないように見える。そもそも、太っているから部屋が汚いのか、部屋が汚いから太っているのか、どちらが先なのかもわからない。
実は、そこには、脳から出るストレスホルモンの量に関係があるようだ。このストレスホルモンと部屋が片付けられないことと太っていることの関係を専門医に聞いてみた。
部屋が片付けられない原因は?
宮澤医院の院長、宮澤賢史先生によれば、部屋が片付けられない場合、まず次の病の可能性を疑わなければならないという。
「片づけられないのは精神疾患の可能性もあります。単純に部屋を片付けられない場合、うつやADD/ADHD(注意欠陥・多動性障害)などが根底に潜んでいることがあります。また、ごみを積極的にため込む『ホーディング障害』と呼ばれるものもあります。もし部屋が片付けられないことが深刻である場合、精神的な病でないかどうかを専門医に聞いてみることも必要です」
このADD/ADHDやホーディング障害には、次のような特徴があるという。
「ADD/ADHDの人は、注意力、集中力を保つのが難しく、部屋が片づけられないことが多いです。ホーディング障害の原因ははっきりわかっていませんが、幼少時から不注意が強いADHDを持っている人に多いといわれています。特に不注意型のADHDの場合は、自律神経が過度に緊張する症状が強い人が多く、ドーパミンやコルチゾールの分泌が盛んです。ドーパミンやコルチゾールは、ストレス時に分泌されるストレスホルモンです。つまり、部屋が汚い人は、もともと、ストレスホルモンの分泌が強い傾向にあるということです。ストレスがかかればさらに分泌量は増えます」
部屋が汚いと太る傾向がある?
ストレスホルモンが多く分泌されると、より部屋が片付けられない傾向になるだけでなく、太りやすくもなるという。それはどうしてなのだろうか?
「ストレスを受けると、ドーパミンやコルチゾールが分泌され、血糖値を上昇させます。またストレス時に多く出るインスリンは、糖分を脂肪細胞内にため込む上に、低血糖を起こさせて食欲を亢進します。これにより体重が増加します。しかし、この状態が数年も続くと、『副腎』というコルチゾールを分泌する器官が疲れてきて、コルチゾール分泌は減少するため、今度は体重が減っていきます」