日本が世界に誇る制度のひとつに、国民皆保険制度があります。全ての国民が公的医療保険に加入することで、誰もが安心して保険医療を受けられる体制を整えています。
公的医療保険の種類は、企業に勤めている人なら健康保険組合や協会けんぽ、公務員や教職員を対象にした共済組合などがあり、保険料は給料から天引きですが、会社も折半して払っているはずです。
一方、個人事業主や無職など、他の保険制度の対象とならない人たちは、住民票のある市区町村の国民健康保険(市町村国保)に加入し、保険料は世帯の所得や加入者数で変わります。前出の企業などの医療保険と異なるのは
・保険料は全額自己負担
・支払いは口座振替や納付書による
が基本なので、所得の割に保険料が高い、手続きが面倒などの声もよく聞きます。
国民健康保険の未加入がばれると、何が起こる?
未加入となる背景
最初に断っておきたいのは、この場合の未加入とは、国民健康保険の加入対象者であることを、保険者(市区町村)に報せていない状態を指します。典型的なのは、会社を定年や転職などで辞めた際、退職日の翌日から14日以内にしなければならない国民健康保険の加入手続きをしなかったというケースです。
加入の手続きは自分でやらなければならないため、忘れていた。もしくは面倒臭くて放置していたなどの理由があるようです。つまり、国民健康保険に加入しなければならない人だと、保険者が知らない状態のことです。
どんな罰則が待ち受けているのか!?
本来加入しなければならない人が届出をしなかった場合、保険者は国民健康保険法により罰則を科すことができます。具体的には「条例で10万円以下の過料を科する規定を設けることができる」と明記されています。
さらに、「偽りや不正行為により規定による徴収金の徴収を免かれた者に対し、その徴収を免かれた金額の5倍以下の過料を科する規定を設けることができる」ため、気づいた時点で早めに手続きをすることをオススメします。
未加入のまま病院に行ったらどうなる?
国民健康保険未加入で起こる最も大きな問題は、3割負担で済む医療費が、10割負担になることです。多少の体調不良なら我慢で乗り切れても、急病やケガなどで病院に頼らざるを得ない状態だと、検査や薬などで医療費が大きく跳ね上がります。
参考までに検査費用だけでも胸部レントゲンなら2000円~。もっと大がかりなCTだと1万5000円~、MRIは2万円~。手術ともなれば、ケタ違いの請求になります。いざという時に役立つはずの、高額療養費などの減免も使えません。
未加入の理由がやむを得ない事情なら、10割負担した費用のうち給付割合に応じた金額を国民健康保険から療養費として支給される「療養費の支給申請制度」もありますが、本人の都合により国保の加入が大幅に遅れた場合は対象にはなりません。
未加入の人は、すぐに対処しましょう。