温水洗浄便座が広まらない理由2:トイレとお風呂が一体化
トイレとお風呂が別々の部屋に設置されていることの多い日本と比べ、ヨーロッパではそれらが同じ部屋に置かれていることのほうが一般的です。
この違いが如実な影響を表すのは、電源コンセントの設置位置。
水漏れの心配の少ない日本のトイレでは、電源コンセントを温水洗浄便座用に低く設置することも可能です。
一方、シャワーやバスタブ、洗面所からの水漏れが十分に考えられるヨーロッパの一般家庭では、ほとんどの場合、電源コンセントは洗面所の上部などに見られるのみです。
温水洗浄便座が広まらない理由3:住宅の新築が活発ではない
理由2をさらに補強するのが、ヨーロッパでは「住宅の新築が活発ではない」という事実。
景観保護や伝統を理由に、ヨーロッパの住宅は数世紀前のものを修繕しながら使い続けるというのがごく普通です。
そのため、わざわざ温水洗浄便座を導入するために新たに電源を引いて、特別な工事をするという決断は、経済的になかなか簡単に出来るものではありません。
日本で「温水洗浄便座付き」を不動産屋が物件の売りに出来るのも、新築時にまとめて工事してしまっているからです。
もちろん、郊外では新築の“団地”を見かけることも多く、その場合は電源コンセントを引くことも可能でしょうが、ここでも理由1が壁として立ちはだかります。なぜなら、住宅会社と現地のトイレメーカーとの間に、日本のトイレメーカーがのこのこと入り込んでいくのはそう容易なことではないからです。