日本国内の一般家庭への普及率が80%越えとされる温水洗浄便座、またの名を『ウォシュレット』(ウォシュレットはTOTOの登録商標ですので、記事中では温水洗浄便座を使います)。
温水洗浄便座のトイレしか使えない、なんてほど病みつきになってしまった人もいるほどで、除菌、音楽、スマートフォン連動などの高機能を備えた温水洗浄便座も見かけるようになりました。
しかし、数十年に普及活動の効果もいまいち、海外諸国ではなかなか温水洗浄便座が普及しないようです。特にヨーロッパでの参入障壁は高いようです。
なぜでしょう?
今回はヨーロッパでの温水洗浄便座普及を阻む原因と、普及の糸口を紹介します。
温水洗浄便座が広まらない理由1:現地のトイレ業界の競争
温水洗浄便座普及を阻む最も大きな理由の一つに、「現地のトイレ業界の競争」があります。それも激しい競争です。
ヨーロッパ各国のトイレ業界には、日本のそれと同じように、老舗のトイレメーカーがいくつかあり、もちろんその老舗を追い越そうとしたり、恩恵を受けようとする中小メーカーもあるわけです。
そんな中、日本のTOTOやLIXILが温水洗浄便座を、日本で受け入れられているそのままの形でホテルや一般家庭に導入しようとしても、信頼の低い「新参者」と思われる他、長い年月を経て強固に組み固められ、独自の販路網を構成した各国の「トイレ業界」に割り込むことは容易ではないことが分かります。
日本国内の消費者視点からでも、たとえ海外から新たにメーカーが参入してきても、TOTOやLIXILといった強力なブランドと信頼を築き上げた国内トイレメーカーを手放して、すぐに乗り換えようという気を起こさないだろう、と想像できるはずです。
もちろん、海外進出を目論む日本のトイレメーカーも上述の事情は重々承知していて、例えばTOTOは現地の競合トイレメーカーにOEM供給を求めるなどの活動を長年続けています。