製品が才能を開花させる
Makuakeの応援コメントに、こんな書き込みがある。
「ADHDの人や認知症を抱える人にとっても有益なものではないか?」
筆者も同意見である。やはり、見ている人はちゃんと見ているものだ。
小学校や中学校では、発達障害や学習障害を持つ児童に対してタブレットの持ち込みを許可する事例が最近増えている。思い返してみれば、筆者が小学生の頃にも学習障害の友達がいた。
S君は筆者とは保育園以来の友達で、運動神経がよく手先も器用だった。が、文字を書かせれば鏡文字になり、時間割の把握や解釈がとにかく苦手。当時は学習障害に対する教師の理解などまったくなく、彼は休み時間にひとり寂しく自由帳に文字の練習をしていた。その時のS君の涙に暮れた背中が、今も忘れられない。
しかしこれは、カクミルの機能で一挙にカバーできるものではないのか。次の授業は理科室に移動するとか、体育があるからそれまでに着替えなければいけないとか、そういう内容のメモを予め時間設定できる。また、文字の書き取りの練習にもE Inkのディスプレイは有用だ。
もし筆者がどこかの小学校の校長だったら、キングジムに電話をかけるかもしれない。内容はもちろん、カクミルを我が校に導入するための相談だ。
ひとつの革新的な製品により、開花する才能は必ずある。小学4年の時に転校してしまったS君は、今何をしているのだろうか。聡明な彼のことだから、きっと筆者などよりも社会的地位のある仕事に就いているはずだ。
「E Ink」とは
なお、カクミルの主軸機能であるE Inkだが、これは正確にはアメリカの一企業の社名である。
E Ink社の電子ペーパーディスプレイを差すのであり、要は「E Ink」とは固有名詞。戦車の履帯を「キャタピラ」と呼ぶのと同じだ。
筆者は東山氏に対し、海外発のとある製品にE Inkのディスプレイが使われていることを話した。すると返ってきたのが、
「あれはE Inkではありませんよ」
という答えだった。どうやら、普通名詞と固有名詞を曖昧にして「我々の製品はE Inkを採用」と銘打っているものがあるという。
E Inkのディスプレイが注目されている今、それ故に「偽のE Ink」が登場してしまっている現状も否めない。だからこそ、筆者はカクミルを通じて本物のE Inkを体験できたことは何物にも代えがたいと感じている。
「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉があるものの、カクミルはそれを打破して「良貨が悪貨を駆逐する」状況を作っていただきたい。
【参考】
あ! 忘れてた…を解消! あなたをフォローする”気づかせメモ”「カクミル」-Makuake
取材・文/澤田真一