時期を通した値段の変化について
ところで、国産松茸は出荷時期を通して、価格が統一されているわけではないということも聞く。なぜ値段が変化するのか。
「やはり需要と供給の関係かと思います。一概には言えませんが、9月のまだ高温が続くようなときであれば皆さん松茸を食べたいという雰囲気にはなりません。やはり松茸の最需要期は10月です。日中も涼しくなり、秋めいてくると松茸を食べたいという雰囲気になり需要が増えるのです。この10月に収穫量が少ないと相場は急激に上がります。ただし、10月でも大量発生することがあれば値段がガタンと下がることもあります」
ランクによる値段の違いも
中つぼみ 1kg(浅井商店松茸ショップ提供)
写真はあくまでも目安。実際はもう少し量は多い。
国産松茸は、カサの開き具合などの国産松茸のランクによる値段の違いもあるという。
「松茸は、見た目重視です。曲がっている、形が悪いといったものは、当然価値が下がります。また、大きさによっても価値は変わってきます。つぼみと開きであれば、つぼみのほうが高価となりますが、松茸特有の香りを愉しむのであれば断然、開きがおすすめです」
参考までに、浅井商店で取り扱われている信州松茸の値段相場は次のようになっている。
・コロ(つぼみ)約10本 1万円
・開き・コロ・キズ 量重視 約15本 1.8万円
・つぼみ 質重視 約5本 1.8万円
・つぼみ 曲がり 約8本 1.8万円
・開き 約5本 3万円
・中つぼみ 約10本 3万円
・上つぼみ 約10本 5万円
・特選つぼみ 約7本 7万円
1本だいたい1,000円から1.4万円。見た目により、ずいぶん開きがある。
ただし、これはあくまで目安である。量も価格も毎年変動する。
浅井さんによると、高品質の松茸は涼しくなってきてから出てくるそうだ。ムシが入る恐れのある9月と比べ、10月はそれがなく、10月が最盛期となった場合の松茸は高品質だという。さらに、そのタイミングで大量発生ともなればお手頃で良質の松茸を手にすることができるそうだ。
【取材協力】
松茸の浅井商店
「松茸は鮮度がいのち」をモットーに、信州産松茸のみを扱っている。また、一般には流通することのない天然きのこの販売も。1年にこの時期だけの贅沢。きのこの王様「松茸」をご家庭でもどうぞ。飲食店様のご注文も承り中
http://www.e-matsutake.com/
取材・文/石原亜香利