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Netflixの女子刑務所ドラマ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」はなぜ人の心を掴んだのか?

2018.09.04

1.会社・学校と似ている!? 閉鎖的な刑務所は、世の中の人間関係の縮図

刑務所というと、ほとんどの人にとってはあまり縁のない場所に思えるかもしれない。しかし、閉鎖的な空間であり、独自のルールで秩序が保たれているという点でじつは会社や学校とよく似ている。

気が強い、腕力がある、弁が立つ、人心掌握術に長けている、頭がキレるなど“力がある”者が上に立ち、弱い者はいじめられる。

ここで何より重視されるのはわかりやすく実用的な“パワー”であって、“育ちの良さ”や“学歴”は通用しない。それどころか、「あたしたちと違って恵まれている人間」として反感を買い、逆に攻撃のターゲットになりやすくなる。

さらに本作に登場するのはアメリカの女子刑務所なので、人種差別も絡んでくる。刑務所内の人間関係も、白人・黒人・ヒスパニック系によって派閥ができている。これに加えて、同性愛者に対する差別問題もある。

もちろん、主人公のパイパーにも、それなりの苦労や悲しみを乗り越えてきた経験があるのだろう。どんな立場の人間にもそれなりの苦労があるものだ。

だが、それでも極めて過酷な人生を歩んできた他の囚人たちから見ると、パイパーは“ちやほやされてぬくぬくと育ってきた甘ちゃん”にしか見えないのだ。

気なく豊かな教養や知識を披露し、食べ物のありがたさがイマイチわかっておらず、人を簡単に信用し、優しくしてもらえて当然だと思っている。

本当にまったく悪気はないのに人の心を踏みにじり地雷を踏みまくっていたパイパーだが、もともと頭がよく冒険心旺盛なので、刑務所内で囚人たちに揉まれながら人間的にも成長していく。その過程は、刑務所の外で暮らしている人にとっても学ぶことが多い。リッチフィールド刑務所は、人間関係の教科書と言ってもいいかもしれない。

2.アメリカの刑務所ってどんなところ?秘密の場所に好奇心がそそられる

閉ざされた秘密の場所というのは、どうしても人間の好奇心をそそるものだ。着るものも食べるものも制限されている中で、なんとか工夫してお洒落をしたり、おやつを美味しそうに食べるシーンは、観ているこちらまで楽しくなってくる。

生理用品を活用して色々な道具を作ったりと、女子刑務所ならではのシーンも。

とくに毎回気になってしまうのが、食事のシーン。米メディア『Bustle』によると、本作に登場する食べ物の多くは、アメリカの刑務所で実際に提供されているメニューと一致しているようだ。

たとえば、シーズン3に登場するコーシャーミール。これは、ユダヤ教徒のために特別な調理法で作られた食事だ。同メディアによれば、とても美味しいらしい。

また、感謝祭やクリスマスに刑務所内でごちそうを用意してパーティーを開いているシーンもあるが、これも実際に行われている行事だそうだ。

とある元受刑者が匿名でフォーブス誌に語った内容によると、「クリスマスには鶏の丸焼き、野菜、デザートなどの祝祭用メニューが特別に提供され、とても美味しい」とのこと。

実際に刑務所に入るのはゴメンだが、ちょっと味見してみたくなる。

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