刑事というと、よく、刑事ドラマなどのイメージから、その食事事情が話題になることが多い。例えば取調室でのかつ丼や張り込み中のアンパンと牛乳は鉄板だ。実際のところどうなのか、元刑事で現在は経営コンサルタントをしている森透匡氏に聞いた。
取調室でかつ丼は本当か?
取調室で事情聴取が長引くと、刑事が「かつ丼でも食うか?」と切り出し、出前をとるシーンがよく刑事ドラマであった。実際、このようなシーンはあるのだろうか。
「取調べでは、確かにかつ丼を食べることはできます。ただし、任意同行されて取調べを受ける被疑者しか好きなものを食べることができません。逮捕された被疑者は選ぶ権利がなく、留置所の弁当しか食べられないのです。
例えば、逮捕前の被疑者に対しては、取調べ中に刑事が蕎麦屋のメニュー表を見せることはあります。『好きなものを頼んでください。』と言われてかつ丼を選べばかつ丼を食べられるというわけです。ただ、その飲食代は逮捕前の被疑者の自腹です」
かつ丼はあながち嘘ではなかったようだ。ところで食べ物で釣って被疑者を吐かせるということはあるのだろうか。
「食べ物で釣って吐かせるということはありません。そもそも何かの利益を与えて供述を得ると『供述の任意性がない』ということになり、供述の証拠価値がなくなってしまうからです」
張り込みの牛乳とアンパンは?
では、刑事が容疑者を外で張り込みするときの定番は牛乳とパン、もしくはアンパンというのも鉄板だ。これは本当なのか?
「ウソです(笑)コンビニにあれだけ美味しいものがたくさん売っているのに、アンパンと牛乳を買う理由がありません」
ちなみに森氏は張り込み中には何を食べることが多かったのか。
「私はその時々で異なり、何とも言えませんが、多かったのはコンビニのおにぎりでしょうか。おにぎりをほおばりながら待つといった感じです」
やはりアンパンと牛乳というのは作り話だったようだ。