「丸いチーズ」が普遍のものに
チタンの利点は、錆びないということだろう。
錆びなければ、その製品は事実上メンテナンスフリーだ。カーボンではさすがにそうはいかない。錆が出ないように洗浄後は水分をしっかり拭き取らなければならないし、もし錆が酷くなったら砥石にかけなけれなばらない。
それはステンレスも同じだ。カーボンほど手のかかるものではないにしろ、ステンレスも錆びる素材である。
そのあたりを考慮すれば、チタンは「日用品向けの材質」といえるかもしれない。
話をEPAに戻す。貿易関税の話題と言えば、日本では自動車かコメに人々の目が集中する。日本人にとってこの2品種は政治的にも大きな話題性を含んでいるからだが、その傍らで「乳製品改革」と呼ぶべき現象が起こりつつある。ヨーロッパ産の丸いチーズが、日本でも普遍的なものになる可能性は十分にある。
そういえば、筆者が子供の頃にこんなCMがあった。雪印チーズのCMで、『Scarborough Fair』のBGMとともにチーズ製造所の様子を紹介するというものだ。そのCMで筆者は、本来のチーズとは円形で大きなものだということを知った。
しかし同時に、そのチーズを食べるとしたら専用のナイフも必要だということも考えた。いかにも堅そうなチーズだから、ナイフで小さく切り分けないと僕の口には入らないだろう。当時の筆者は確か小学1年生だったはずだが、その頃の思案が33歳10か月で現実のものになったのだ。
さて、この記事を入稿したら筆者の今日の仕事は終わりだ。今夜はワインを飲みながらエダムチーズでもかじろう。
【参考】
<チタン>+<螺鈿>堅いチーズや崩れやすいケーキも崩さず切るチタンナイフ「彩」-Makuake
取材・文/澤田真一