2.圧倒的スケールと迫力! 壮大な歴史ロマンが男女問わず惹きつける
たしかに上記のような少女漫画的な要素も多いのだが、男性視聴者も決して置き去りにはしていない。スコットランドの雄大な自然をおさめた迫力の映像と史実をベースにしたスケールの大きな歴史ロマンは男女問わず楽しめる。
シーズン1(全16話)はじつに1年以上もの時間をかけて撮影されたそうだ。CGはほとんど使用しておらず、本作に登場するリアフ城のシーンもスコットランドに実在するドゥーン城を用いて撮影された。
衣装や小道具も、その時代や国の文化に合わせて緻密に再現されている。2015年には、衣装展『A Tartan Affair』がロサンゼルスで開催された。
また、どれだけひどい弾圧を受けても、スコットランド人としてのプライドと愛国心を失うことなく勇敢に立ち上がるジェイミーたちの姿には、国や文化は違っても心を揺さぶられる。
荒々しくも美しいスコットランドの自然と誇り高きスコットランド人の精神が相まって、深い感動を呼び起こす。
3.ワイルド系ヒロインが男性を守る! 命懸けで助け合う理想のカップル像
冒頭では“少女漫画チック”と紹介したが、これまでの少女漫画とは大きく違う点がある。
それは、ヒロインのクレアがとにかくワイルドで強いということ。そして、男性に一方的に救われるだけのか弱いヒロインとは違い、クレア自身も身の危険を顧みず男性たちを救う場面が何度も登場する。そして、必要とあらば、パンチやキックをお見舞いして雄叫びをあげてでも助けようとする。
もちろんヒロインになるくらいだから根は優しく愛情深い女性なのだが、その表現の仕方は“あたたかい”というよりも“熱い”。メラメラと燃え盛る激しい炎のような愛を持っているのがクレアだ。
ジェイミー役のヒューアンもインタビューの中で、「このドラマが人気の理由のひとつとして、ものすごく強い女性を主人公にしていることがあるんじゃないかな。クレアみたいな主人公は異例だけど、本来はもっといなければならない」と語っている。
ジェイミーはクレアより5歳年下なだけでなく、女性経験もなかった。しかし、ジェイミーはそれについて卑屈になる様子を見せず、堂々としていたのも印象的だ。
また、男性が性的暴行の被害者になるシーンも何度か登場し、そのたびにクレアが必死に救おうとする。性的な暴力を受けると、女性と同じく男性も深く尊厳を傷つけられ苦しむのだということをこれだけ丁寧に描いたドラマは珍しい。ショッキングな脚本ではあるが、女性もそろそろ“救う側”にもまわる時が来たことをクレアが教えてくれている気がした。
ドラマ「アウトランダー」
Netflixにて配信中
参照:
http://collider.com/sam-heughan-outlander-interview/
http://www.glamourmagazine.co.uk/article/outlander-sam-heughan-interview-and-profile
https://variety.com/2015/tv/awards/outlander-sam-heughan-emmy-jamie-black-jack-randall-1201526126/
https://www.harpersbazaar.com/culture/film-tv/a12462031/outlander-tobias-menzies-frank-randall-death-interview/
文/吉野潤子