もちろん、夜景以外の写真撮影にも十分使える。もともとメインカメラのレンズがF1.6+F1.8と明るく、カラーセンサーのセンサーサイズが1/1.7インチと大きいため、取り込める光の量が他のスマホよりも多い。真っ暗な場所で適当にシャッターを切っても、それなりに被写体が写るのは驚きだ。
撮影時に色味を簡単に調整できるが、「鮮明な色」や「ソフトな色」にしておくと、記憶色のように鮮やかな色合いになる。目の前に映っている現物よりも、ビビッドな写真を残せるというわけだ。ポートレートモードで人物を撮ったときのボケ味もキレイに表現できており、一眼レフさながらの写真に仕上がる。
ポートレートモードで背景をボカすと、人物がクッキリ浮かび上がってくる
3倍、5倍とワンタッチで切り替えられるズームも便利。5倍相当に拡大しても、画像の劣化が非常に少ないため、積極的にズームを使おうという気になる。ズームについては、スペースの関係で光学ズームを搭載できないスマホの弱点ともいえるが、P20 Proはそれをトリプルカメラとソフトウェアの力で、見事に解消している。
標準、3倍、5倍のズーム撮影が可能。5倍にしても、画質の破たんは少ない
一方で、海外版と同様、AIがダイナミックにモードを変えすぎているきらいがあり、ここは要改善だと感じた。たとえば、商品発表会などでスライドが大写しになっている場面があるが、それをそのまま撮影しようとすると、AIがスライドと判断してしまい、モードが勝手に「文字」に切り替わってしまう。登壇者の後ろに巨大なモニターが置かれているようなシチュエーションだと、登壇者が不自然に切り取られてしまうのだ。
「フード」程度ならいいが、モードの変更が大胆すぎて、AIは少々使いづらい
また、人物を検知すると、AIがポートレートモードに切り替えるが、背景をしっかり残して人物と一緒に撮影したいときには、これが邪魔になる。×ボタンを押して、モードの切り替えを解除すればいいが、ひと手間かかり、シャッターチャンスを逃してしまうおそれもある。筆者は結局、AIをオフにしてしまったが、AIで変更するのを色味や明るさ程度にしておくモードも用意してほしいところだ。
パフォーマンスの高さは健在、顔認証+指紋認証も便利
パフォーマンスの高さも健在だ。P20 Proは先に記載したとおり、ファーウェイ傘下のハイシリコンが製造するチップセット、Kirin 970を搭載している。レスポンスは非常によく、画面の動きが指にしっかり追従する。メモリ(RAM)も6GB搭載されており、複数のアプリを同時に動かしても動作速度に不満は感じない。とはいえ、これは約半年前に発売されたMate 10 Proとほぼ同じ性能。パフォーマンスは高いが、今どきのハイエンドモデルと同程度と考えておけばいいだろう。
メモリは6GB。Kirin 970のパフォーマンスも高く、動作はスムーズだ
ただ、一般的なハイエンドモデルに搭載されるSnapdragonではないためか、一部アプリが対応しきれていないのは残念なポイントだ。発売元のドコモでいえば、「歩いておトク」が発売時点で非対応になっていた。ゲームアプリなど、CPUのパフォーマンスをギリギリまで引き出すようなアプリの中にも、しっかり動かないものがあるかもしれない。筆者はそこまで不便な場面に出くわしていないが、どうしても使いたいアプリがある場合は、対応機種に挙がっているかどうかはしっかり確認しておきたい。
生体認証には、“顔”と“指紋”の両方が利用できる。顔認証は、ユーザーの顔を3Dで捉えており、反応が非常に速く、正確性も高いのが特徴だ。Galaxy Note8も顔認証を採用するが、比べてみると、P20 Proの方がロック解除までの時間が短い。顔認証にインカメラを使っているため、暗い場所は苦手とするが、薄暗い夜の屋外でも、街灯がついていればしっかり機能した。
また、本体前面には指紋センサーも搭載されており、こちらのロック解除も非常に速い。指紋センサーの搭載で少々ベゼルが厚く見えてしまうのは、iPhone Xなど、指紋センサーを省いた端末に比べて弱点といえなくもないが、顔認証は端末と顔の距離や、明るさによってはうまく機能しないことがあるため、やはり“安全策”として指紋センサーはあった方がいいと感じる。
一方で、Androidには指紋センサーとは別に、画面上にホームボタンが存在する。ホーム画面に戻りたいときは、こちらを押せばいいが、P20 Proの指紋センサーはホームボタンとしても機能するため、一瞬どちらを押したらいいのか迷うことがある。画面上のナビゲーションキーを消し、ホームボタンのスワイプに戻るやアプリの履歴を割り当てることもできるが、少々操作が複雑になる。ハードキーがあるために、かえってわかりづらくなってしまった印象だ。