■連載/石野純也のガチレビュー
『P20 Pro』は、ドコモの独占販売でも話題になった、ファーウェイのフラッグシップモデルだ。最大の特徴は、背面に3つのカメラを搭載していること。モノクロとカラーのセンサーを掛け合わせて、精細で美しい写真が撮れるだけでなく、光学3倍相当のズームも実現している。
AI(人工知能)を幅広く活用しているのも、『P20 Pro』ならではだ。チップセットに採用した「Kirin 970」には、「NPU」と呼ばれる機械学習を処理するユニットが内蔵されており、AIを活用した機能やアプリを素早く処理できる。カメラや翻訳アプリだけでなく、処理能力向上などの恩恵もあるという。
日本版はドコモのVoLTEやおサイフケータイにも対応。ネットワークもドコモのものに最適化されており、下り最大988Mbpsと超高速だ。一方で、ドコモ版はソフトウェアの一部がドコモ仕様にカスタマイズされており、ファーウェイの独自機能や独自仕様が削られてしまったところもある。
また、元々の仕様としてmicroSDカードや3.5mmのイヤホンジャックを搭載しないなど、Androidスマートフォンとして気になるポイントも。実際に利用するとき、これらの仕様がどう影響してくるのか。発売日に実機を買い、約3週間ほど日本版P20 Proを使ってみた。その○と×をジャッジしていこう。
カメラのクオリティは高いが、AIには課題も
すでに本コーナーでは海外版のP20 Proを紹介しているが、ドコモ版もカメラの実力はまったく変わらない。ソフトウェアがやや新しく、ユーザーインターフェイス(UI)にわずかな違いはあるが、撮れる写真のクオリティは相変わらず高い。特に注目したいのが夜景。ノイズが非常に少なく、暗い空の階調までしっかりと表現された写真は、一見の価値がある。
ここまで美しく撮れると、普段はあまり撮らなかった夜景の写真を、積極的に撮影したくなってくる。普通に撮ってもキレイだが、夜景モードにすると、美しさがさらに際立ってくる。夜景モードは複数枚の画像を組み合わせて、4秒なり6秒なりの長時間露光に近い写真を撮れるが、AIを活用した強力な手ブレ補正が相まって、手持ちでも手ブレが少ないのがうれしい。
夜景モードで撮影した夜景の数々。暗いところの階調もしっかり表現されており、シャッター速度が4秒なのに手ブレもない