Q:室内と野外では、服装は全く違うと思いますが、外に出るときはどんな防寒装備をしますか?
まえださん:ベルホヤンスクで毛皮のジャケット、スキーパンツ、毛皮の帽子、羊毛の手袋、毛皮の靴です。動物製品はすごい!外でも寒さを感じませんでした。着いてから頭からつま先までフルセット借りました。もし日本で揃えたら値段がすごいことになりそうです。
一方、ホテルも学校も室内はガンガンに暖房が効いていて暑くて汗をかいていました。
重装備でないと命にかかわるのがベルホヤンスク(『ベルホヤンスク旅行記』より)
Q:ベルホヤンスクの住人は、ふだんどんなものを飲み、食べているのでしょうか?
まえださん:お酒は微炭酸・微アルコールの馬乳酒です。甘酸っぱくて飲みやすいです。飲兵衛のメンバーは度数の高いウォッカを街の酒屋で買っていました。あとは宿にはサモワール(ロシアの給湯器)があり紅茶を飲んでました。
主食は馬肉です。馬のハンバーグ、馬の生肉、馬の煮物、馬入り餃子、馬のモツのソーセージ、とにかく馬づくしです。ほかには凍った魚や酢漬けの魚、魚スープ等、魚も出てきました。凍った魚には味がついていないので、わさびと醤油を持っていくと日本人的には嬉しいです。
一方、野菜や果物は酢漬けのキャベツと人参や凍ったベリーなどの保存食しかなかったです。これらは家の床下の保存庫にいれてあるそうです。自然の冷凍庫です。
驚いたのは、ベルホヤンスクの人たちは朝、昼、夕、晩と4回食事をしていることです。寒いとカロリーを消費するからだそうです。
主食は馬で、馬づくしなのがベルホヤンスクの食(『ベルホヤンスク旅行記』より)
これがベルホヤンスクの食卓だ(写真クレジット:同行した須藤明子さん)
Q:ベルホヤンスクに来て、素晴らしいと思ったことに何があるでしょうか?
まえださん:何度もパンや紅茶やバターを大地に捧げる儀式に立ち会いましたし、学校ではサハの伝説を題材にしたダンスの発表や口琴「ホムス」の授業もありました。自分たちの文化を誇りにし、失われないように工夫していると感じました。学校は近代的で、日本の普通の学校よりも設備が整っているくらいです。近代的なものと、伝統的なものは共存できるんだなと思いました。
ベルホヤンスクの人々の暖かいところも嬉しかったです。なんでみんなこんなに親切なのだろうと聞いてみたら、自然が厳しいので助け合わないと生きていけないからという答えが帰ってきました。そこも守り継がれてきたところなんだなと感じました。
単独行動は危険なため、ツアーでしか動けないのでむしろ初心者におすすめの旅行地です! ぜひ寒いけど暖かいベルホヤンスクを味わってください!
いかがだったろうか?ベルホヤンスクにはガイド付きツアーもあるそうで(詳細は本書参照)、一生に一度の体験として行ってみるのも悪くないかもしれない。ただ、くれぐれも防寒には留意しておこう。
まえだなをこさん プロフィール
イラストレーター、キャラクターデザイナー。今まで訪れた国は44カ国。カタール航空とレイルヨーロッパのコラボ企画に選ばれ、ユーレイルパスを使って一か月の旅行をしてきた旅行記を現在執筆中。公式サイト:http://www.nawoko.com/
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)