■ACアダプターで音は変わるのか?
オペアンプ交換よりもお手軽にできるのがACアダプター選びである。日本仕様はACアダプター別売なので、自分で探す必要がある。もちろん手持ちのACアダプターにとりあえず接続して音を出してみるのもいい。一般的にはトランス式の方がスイッチングノイズが発生しない、過渡特性がいいので有利とされている。今回はトランス式とスイッチングレギュレーター式の2種類を比較する。どちらも24V4A仕様である。さらにトランスを使ったシリーズドロッパ式の直流安定化電源も使ってみる。
今まで聞いてきたのがスイッチング式である。解像度が高く、鮮明で、透明感がある。低域は量感があって音に厚みがある。これをトランス式に交換すると、LUPINでは低域がややタイトに、ウッドベースの響きが減った。手嶌葵では情報量が減ってボーカルが薄くなったように聞こえる。今回購入したトランス式は1850円と比較的安価なACアダプターなので方式の違いではなく、アダプター自体の品質なのかもしれない。この辺りはさらなる検証が必要である。eBayでオーディオ専用トランス電源を注文したので、これが届いたら改めて記事化したい。
最後に直流安定化電源を使って電圧を12V、14V、16V、18.5Vと変化させて音質の変化を確認してみた。基本的は大電流が流せれば、立ち上がりがよくなりハイスピードな音になる。電圧を上げれば大音量が出せるようになる。さすが電源だけで5万円以上もする安定化電源の12VはS/N感が良く、透明感のある音だ。フォーカスが合って、さらに輪郭が鮮明になる。低域はタイトな方向になった。通常の音量では0.2Aぐらいしか流れていない。14Vで低域の押しが強くなった。16Vでは変化ナシ。18.5Vでは高域のヌケが物足りなくなる。中低域寄りのバランスになったようだ。
ACアダプターで音が変わるのかを検証するため、左のスイッチング電源と右のトランス電源を比較してみた。どちらも24V4A仕様である。
電源ケーブルはメガネと3P方式と異なっていた。3Pならオーディオ用が流用できる。
JETが検査をおこなったPSEマーク。丸と菱形があるがACアダプターの場合は菱形のマークが付くのが正しい。
使える電源はDC12〜24Vで2A以上、4A以上が推奨となる。端子は内径2.5mmのセンタープラス仕様である。
拙宅にある安定化電源は18Vまで出力できるシリーズドロッパ式である。
■検証結果
『FX-AUDIO-FX-502J』はハイコスパで音質的には5万円クラスのプリメインアンプに匹敵する。ドライブ能力で言えばさらに上のクラスのパワーアンプに匹敵する。中華仕様よりも日本仕様を選んだ方が音質的に間違いない。その価格差は少ないので安心料も含めて日本仕様をオススメする。ACアダプターに関してはトランス式だから音がいいとは限らないようだ。また、スピーカーの能率と出したい音量にもよっては12V2Aでも充分だが、こちらも価格差は少ないので24V4A以上を選べば安心だ。オペアンプに関しては交換しなくてもクラスDアンプの実力は充分発揮できる。オペアンプを交換するなら、「OPA627」か「LME49860」がオススメ。金に糸目を付けないならMUSEシリーズも候補に入る。実用的にはプリメインアンプながら、入力が1系統しかないため、通常にシステムと入れ替えるには工夫が必要だ。ラズパイと組み合わせてデスクトップに超コンパクトシステムを構築するなどサブシステムだと使いやすい。または真空管プリと組み合わせてパワーアンプ的に使う、というのは私の使い方だが。FX-AUDIO-に多くのアンプがあり、何を選ぶ悩むところだが最新モデルの本機を選べば間違いない。NFJストアで在庫切れになっている場合もあるが、再販されることが多いのでNFJ公式ブログをチェックしてみよう!
写真・文/ゴン川野
オーディオ生活40年、SONY『スカイセンサー5500』で音に目覚め、長岡式スピーカーの自作に励む。高校時代に150Lのバスレフスピーカーを自作。その後、「FMレコパル」と「サウンドレコパル」で執筆後、本誌ライターに。バブル期の収入は全てオーディオに注ぎ込んだ。PC Audio Labもよろしく!