■HDSS非搭載イヤホンと聞き比べで性能検証
さて、実際のところ、HDSS搭載の本機とそうでないものに音質の違いがどれほどあるのか、本機とHDSS非搭載のイヤホンとで聞き比べてみた。
比較対象に使うのは、中国深セン市に本拠を置く、完全ワイヤレスイヤホンメーカーであるShenzhen City Meilianfa Technology社のTWS-X9という機種。Amazonで購入した。
これを選んだのは、Bluetooth5.0対応や自動ペアリングなど、特徴とするスペックで共通する点が多く、また「高音質」を謳っており、Amazonのカスタマーレビューの9割が★★★★★評価を付けている高評価製品なため。違うのは、こちらはHDSS技術を搭載していないこと。
「百見は一聞にしかず」ということで、目隠しで各機をはじめて装着し、様々なジャンルの音楽を聴き、どちらのイヤホで聞いたものが、よりクリアで臨場感があるかを確かめてみた。その結果、一部のシンセサイザー曲では差異がつかめなかったものの、それ以外の楽曲については、HDSS搭載機が「頭の中心部で聴こえている感覚」があり、より幅広い音域を再生しているのが把握できた。特に、人の歌声や自然音(海の波の音など)については、その差は如実で、HDSS搭載機ははるかに自然に聴こえた。
その他の点で見ると、TWS-X9はわずかに重く、イヤーピースは低反発でなくて着け心地には劣る。充電時間、連続再生時間、連続待受時間では、HDSS搭載機は1時間、3.5時間、70時間、TWS-X9は1時間、4時間、72時間で、こちらが若干勝る。防水機能については、TWS-X9は完全防水で、こちらに軍配が上がる。ちなみにTWS-X9については、何度かBluetooth接続がうまくいかず、何かとフラストレーションがたまるというイヤな減点要素があった。筆者の使用した再生機器との相性(?)の問題があるのかもしれないが、HDSS搭載機は接続がスムーズで、ストレスがなかったのは特筆すべき点だろう。なんにせよ、8月発売予定のHDSS搭載機の予価は1万円+税。音質を重要視するユーザーにとって良心的な価格であり、完全ワイヤレスイヤホンの新規購入・買い替え時には有力候補としてよいと思う。
なお、本機は現在クラウドファンディングサイトのMakuakeにて、15%からのオフ価格で早割キャンペーンを実施しているので、購入を決めた方はこちらにて申し込まれるとよいだろう。
協力/株式会社アクセス、株式会社マクアケ
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)