手紙も、プレゼンも、店頭POPも、全てデジタルで手軽に表現できる時代だが、だからこそ手で描いたものに味わいが感じられるようになった。SNSでもらう年賀の挨拶よりも肉筆の干支が描かれた年賀状のほうが記憶に残るし、パワーポイントのスライドだって、自分でこしらえたワンポイントのイラストが挿入されていると、聴衆をより惹きつけることだってある。もしかすると、手で描く能力は、今後もてはやされるスキルになるかもしれない。
こんな話をすると、「自分は絵心がないので…」というリアクションがよく返ってくる。しかし、ワンポイント程度のスケッチなら実は習得は難しいものでなく、入門書も何点かでている。その1冊が今回紹介する『万年筆ですぐ描ける!シンプルスケッチ』(兎村彩野/グラフィック社)だ。
著者の兎村さんはプロのイラストレーターで、画材として万年筆を活用し、味のあるイラストを描くことで知られる。本書でも主に万年筆を使い、小物類をアイコン風に描くコツから、その応用としてのバースデーカードやラベルに入れる絵など、なぞり描きできる豊富な実例とともに説明されている。万年筆に関する基礎知識も一通り案内されているので、万年筆ビギナーにもやさしい。
内容的なものについては、本書より幾つか抜粋したので、参考にしていただければと思う。
■定番のマグカップ
中身を黒く塗るとコーヒーに、白抜きは紅茶やミルクに。