清澄通りを一本折れた先には、江東区役所跡に建った「深川江戸資料館」(MAP 6)がある。この資料館の見どころは、地下1階〜地上2階の吹き抜け大空間に、江戸・深川の町を実物大で再現したディズニーランド的な巨大展示。中には火の見櫓がそびえ、船宿や八百屋が並び、長屋が軒を連ね、掘り割りに小舟が浮かぶ。
さらに、音響や照明を使って、もの売りの声や雨音、夕焼けなどを再現しており、江戸の深川にタイムスリップした気分になる。こちらもデート向きの施設だ。
資料館の前の「深川資料館通り」は、深川のB級ご当地グルメ、「深川めし」を出す、『深川宿』『深川釜匠』『いちばん星』『福佐家』『日吉家』といった店が点在した、江戸情緒の残る下町っぽい通りだ。「深川めし」とは、昔、深川で豊富に獲れたアサリを、長ネギ、三つ葉、しめじなどと一緒に醤油で煮て、煮汁で米を炊き、炊きあがった米に具を戻してかき混ぜた一種の炊き込みご飯。これとは別に、アサリの味噌汁を米にぶっかけた「深川丼」というのもあり、これが「深川めし」の元だそうだが、店によっては「深川丼」の名で炊き込みご飯を出したり、「深川めし」の名でぶっかけご飯を出したりしているので、解釈は様々なようだ。最もオーセンティックな「深川めし」を食べたければ、小名木川の北にある元祖「深川めし」の『割烹みや古』(MAP 7)をおすすめする。
深川資料館通りを東へ進み、三ツ目通りにぶつかった右手には1995年に開館した現代美術館がある(MAP 8。今年度一杯、改修のため旧館中)。深川資料館通りは、現代美術館に近づくにつれ、『無人島プロダクション』『as』等のギャラリーや、『エクスリブリス』『しまぶっく』『eastend TOKYO BOOKS』といった美術関係の古書店、『山』『深川いっぷく』といったカフェが増え、通りの趣きが、江戸情緒の残る下町からアートの町にグラデーションのように変わってゆく、実に東京らしい、面白い通りだ。
これらの店とは別に、近年、清澄白河には『ザ・クリーム・オブ・ザ・クロップ・コーヒー』(2012年)、『アライズ』(2013年)『オールプレス 東京ロースタリー&カフェ』(2014年MAP 9)といった焙煎工場(=ロースタリー)併設カフェが続々誕生。2015年2月には、『ブルーボトルコーヒー』(MAP 10)の焙煎所兼カフェがもオープンし、清澄白河は、街全体にコーヒーの焙煎の香りが漂うコーヒー・タウンと化した。
立ちこめるコーヒーの焙煎の香りの中で、江戸の昔から最新アートまでを堪能できる町、清澄白河。大人の下町探索の第一歩として、ぜひ足を運んでいただきたい。
「深川江戸資料館」
江戸時代の佐賀町を再現した大展示が見もの。清澄庭園もそうだが、施設内には案内係のボランティアのおじいさん・おばあさんがいて、質問に答えてくれる。
◆電話:03・3630・8625 ◆住所:江東区白河1-3-28
◆9:30〜17:00 第2・4月休 観覧料400円
『オールプレス 東京ロースタリー&カフェ』
ニュージーランドの人気コーヒー店の日本初上陸店。元木材倉庫を改装した、深川で一番お洒落な店構え。ガラスの仕切りの奥の焙煎工場も、いかにも本気な雰囲気。
◆電話:03・5875・9392 ◆住所:江東区平野3-7-2
◆8:00〜17:00(土日は9:00〜18:00)無休
取材・文/ホイチョイ・プロダクションズ
※記事内のデータ等については取材時のものです。