■新興国債券にはカントリーリスクと為替リスクの2つのリスクがある
新興国債券が高い金利なのは当然“訳あり”。当然先進国よりも国が倒れてしまうリスクが高いからだ。とりわけ新興国債券の投資を考える上では、カントリーリスクと為替リスクの2つを知っておく必要がある。
(1)カントリーリスク
その国の政治状況、社会状況、経済状況がそれぞれ悪化することで債券の利息や元本が受け取れなくなってしまうリスク。例えば戦争や紛争が勃発したり、急激なデフレが発生したりすると、利息や元本が払えなくなってしまう。これらのリスクが発生する確率が先進国より新興国のほうが高い。
(2)為替リスク
円に対する新興国通貨の相場が変動することによって、損失や利益が発生するリスク。例えば年利5%のブラジル債券があったとして、ブラジルレアルが30円から27円に下落すると、下落幅は10%なので、利息を5%もらえたけど通貨の価値がそれ以上に下がってしまうことになる。
ちなみに、上場新興国債の場合は各国への投資上限を総資産の10%にとどめることによって、リスクの影響を受けづらくする工夫をしている。一方で「為替ヘッジ」という円高になったときに為替取引が損が出ないようにする方法を行っていないので、新興国相場がすべて円高に向かうと損を丸被りすることになる。
新興国債券のパフォーマンスを確認しておこう
上場新興国債のデータとはことなるが新興国債券のトータルリターン(オレンジ丸印グラフ)はほぼ右肩上がりで成長してきている。米ドル建てでのデータであるものの乱高下が激しいわけではない。
引用元:https://www.nikkoam.com/files/fund-academy/rakuyomi/pdf/2016/raku160603_02.pdf
新興国債券投資の魅力~高金利がパフォーマンスの下支え~(日興アセットマネジメント)
■新興国株式よりは値動きがゆるやかで景気悪化を見越した投資によいかも
リスクと聞くと資産がゼロになってしまうのではないかと不安になりがち。しかし債券には不景気に比較的強いという特徴があり、かつ新興国という日本以外の国への投資となるので、資産分散の考え方で持っておいて損はないだろう。
新興国株式と新興国債券の値動きの違いを見てみよう
一般投資家でもすぐに比較できるように、三菱UFJ国際投信が運用する以下の2つの基準価額で比較してみたところ、新興国債券のほうが価格の幅がゆるやかであることが分かる。この価格の幅が価格が上下するリスクであるので、新興国債券のほうが同株式よりもリスクが低いといえる。
■比較対象
・新興国債券の例:eMAXIS 新興国債券インデックス
・新興国株式の例:eMAXIS 新興国株式インデックス
引用元:https://emaxis.jp/special/chart/index.html
ファンド比較チャート(三菱UFJ国際投信)
上場新興国債やそのほかの新興国債券にボーナスを全てつぎ込む必要はない。しかし資産運用に回すお金の投資先の一つとして検討してみる価値が大いにある。利息収入による分配金が基準価額まで貯めて追加で購入するのもアリだ。
文/ぺったん総研