よく「日本の歯科診療所は、コンビニよりも多い」と言われ、その後には必ず「歯科医の数が多すぎでは?」と続けられる。データを調べると(Data1)、確かにコンビニの数を上回っているが、診療所の数と比較すると、突出して多い数字というわけではない。人口1000人当たりの歯医者数では世界で第9位。人口の割に多いのは確かなようだが、決して多すぎるということではなさそうだ。
一方、歯科医院の充実で虫歯の本数が少なくなっているのかというと、実はそうでもない。残念ながら虫歯の本数が少ない国のベスト10には入っていないのだ(Data2)。というより、虫歯の少ない国の多くは発展途上国と呼ばれる国々。国が豊かになるにつれ、甘いものへの誘惑も増え、虫歯も増えてしまうのだろう。
ここで思い出されるのが、フィンランドの子供には虫歯が少ないというあのCM。12歳の時点での虫歯の本数を調べてみると(Data3)、1980年代より国を挙げてキシリトールガムを広めたフィンランドなど、虫歯予防に力を入れるヨーロッパの国々は、虫歯が1本前後と効果が出ている(日本は2.4本)。ところが、スイスやオランダは34〜44歳になると虫歯の本数が多い国でベスト10入り。やはり大人になってもケア意識を高く保つことが重要なのだ。人生100年時代、健康な歯を保つ意味でオーラルケア市場には大人も子供もまだまだ伸び代がありそう。歯科医もこまめに活用して虫歯予防につなげたい。
【 Data1 】日本は本当に歯科医が多すぎるのか?
コンビニより多いのは当たり前!世界各国の歯医者事情
■ 日本の医療施設数
歯科診療所は小さいところで1日で治療できるのは20人程度、大きなところでも1日200人程度。そう考えると、この数は妥当なものかも。
■ 世界各国における人口1000人当たりの歯科医の数ランキング
※1:患者20人以上の入院施設を有するもの。
※2:医師または歯科医が医業または歯科医業を行なう場所(歯科医業のみは除く)であって、の入院施設を有していないもの。または患者19人以下の入院施設を有するもの。