大人になってもできないことや苦手なものがある。自転車もその1つかもしれない。子どもの頃に練習したが乗れず、そのまま習得できずに大人になった人が意外と多い。それでも案外生活できてしまうものだが、子どもが産まれて必要になったり、勤務地が変わって自転車で通いたくなったり、ステータスが変わると乗りたくなる場面が出てくる。
「でも、今さら練習する場所もないし、恥ずかしいし……」。そんな方にオススメの練習場所がある。日本サイクリング協会が主催する「自転車乗り方教室」だ。昭和57年から35年間続くこの教室は、開催する度に大人や子どもで大賑わいというウワサを耳にしたので、筆者はさっそく取材にでかけた。
■行列を成す自転車乗り方教室
4月29日午前9時。この教室が開かれる神宮外苑サイクリングコースに降り立った。最寄りの都営大江戸線国立競技場駅から5分ほど歩くと、なにやら子ども連れの家族でにぎわっている。「どうやらあそこくさいな」と思いながら近づくと、驚いた。
おぉ……すごい行列だ……。原宿の有名カフェの列みたいだ(たぶん)。この教室は日曜日と祝日のみ開催されており、午前と午後の部に分かれて行われる。受付時間は、午前は8時半から10時半まで。午後は8時半から14時までで、定員になり次第しめきり。どちらも定員は「子供: 30名/身長の高い子供~大人: 20~25名」なので、早めに受付したいところ(自転車乗り方教室の詳細は、日本サイクリング協会のサイトにてご確認ください)。
この教室のインストラクターであり日本サイクリング協会神宮外苑サイクリングセンター責任者の土田正友さんに話を聞くと、
「今の時期が特に多いんです。子どもはもちろん、通勤や子どもの送り迎えで必要になった大人も教室にやってくる。気候もいいから一番混みますね。今も並んで頂いているけど、列の後半の方は今日の参加が難しいかもね。申し訳ないね」
と穏やかに答えてくれた。「なるほど~」と思いながら話を聞き入っていると、9時半を回った。いよいよ「自転車乗り方教室」が始まる。