■戊辰戦争の主力エンフィールド銃
しかしこのゲベール銃は、1850年代から旧式化する。
その理由は、銃身内部に旋条を刻むことで射程距離を飛躍的に向上させる技術が確立したからだ。1861年にアメリカで勃発した南北戦争では、すでに両軍とも銃身内部に旋条を刻んだライフル銃を採用していた。その流れは、日本にも即座に波及する。
1868年に始まった戊辰戦争では、エンフィールド銃がその威力を発揮した。ゲベール銃と同じ先込め式であるものの、こちらはライフリングがあり弾丸は球形ではなく椎の実型だ。弾丸に回転運動を与えることで、従来の銃とは比べ物にならないほど射程が伸び、威力も増した。
上の写真がエンフィールド銃である。射程距離が向上した分、照準器もしっかりしたものが付いている。
ここで調子に乗った筆者は、エンフィールド銃を持って写真撮影。
当時の新政府軍は、これを担いで行軍していたわけだ。ゲベール銃よりも圧倒的に長い射程も、兵にとっては心強かったに違いない。