■連載/元川悦子「ロシア戦記」
5月14日の2018年ロシアワールドカップ予備メンバー35人の登録期限まで1週間を切った。この4日後の18日には、21日から東京近郊で始まる直前合宿のメンバー30人程度が発表され、30日のガーナ戦(横浜)を経て、翌31日の最終メンバー23人決定という流れになっている。
日本代表の西野朗新監督も大きな決断を前に4月末から5月頭にかけて約10日間の欧州視察に赴いた。2月から負傷で試合に出ていない香川真司(ドルトムント)、同じくケガで3週間ピッチに立っていないの岡崎慎司(レスター)、1月のスペイン挑戦後、出番が遠のいている井手口陽介(クルトゥラス・レオネサ)らの現状をチェック。そのうえで絞り込みを行うという。本誌が何度か推してきた堂安律(フローニンゲン)や伊藤達哉(HSV)、南野拓実(ザルツブルク)のところには残念ながら足を運んでいない。それを見ると、新指揮官はヴァイッド・ハリルホジッチ前監督時代の主力をベースに考えている様子。サプライズの可能性は低そうだ。
こうした現状を踏まえて、現時点での23人を選んでみたい。
【GK=3人:川島、中村、東口(西川)】
まずGKだが、日本人初の欧州5大リーグの守護神である川島永嗣(メス)の圧倒的優位は揺るがない。6日のアンジェ戦で敗れ、フランス2部降格が決まったが、過去のワールドカップ2大会と欧州8年間の経験値は今の日本代表に不可欠だ。
そこに続くのが、2016年リオデジャネイロ五輪代表で」「次世代の代表GK」の呼び声高い中村航輔(柏)。3番手は4月21日のセレッソ大阪戦で右頬骨骨折と右眼窩(がんか)底骨折を負った東口順昭(G大阪)が入るだろう。最終予選途中までスタメンだった西川周作(浦和)も復調傾向にあるが、東口のケガは全治3~4週間で本大会に間に合う。西野監督も招集に踏み切るはずだ。
【DF=7人:吉田、長友、槙野、酒井宏樹、酒井高徳、森重、植田】
DFについては、ハリル時代は4バック用の選考がなされたが、西野監督は3バック併用の考えを持っている様子。そうなると前提条件が変わってくる。吉田麻也(サウサンプトン)、長友佑都(ガラタサライ)、槙野智章(浦和)、酒井宏樹(マルセイユ)の4人はいずれにしても確定だが、バックアップのメンバーはマルチな能力を持つ人間を入れなければならない。
その筆頭が酒井高徳(HSV)。左右のサイドバックにウイングバック、3バックのストッパーもこなせることは所属クラブでも実証されている。3月のウクライナ戦(リエージュ)ではイェウヘン・コノプリャンカ(シャルケ)にキリキリ舞いされ、守備の課題を露呈したが、本人も弱点を克服すべく目の色を変えている。やはり彼は必要だ。
森重真人(FC東京)も4バックのセンターバック、3バックの全ポジション、ボランチもこなせる貴重な人材。ハリル時代は昌子源(鹿島)の方が序列が高かったが、昌子は3バック経験が少ない。今季Jリーグではケガや退場で何度か欠場しているのも懸念材料だ。森重は試合毎に調子を上げているだけにアドバンテージは大きい。
もう1人は世界基準の身体能力を誇る植田直通(鹿島)。彼も2017年12月の東アジアカップ(東京)で右サイドバックとして出場している通り、複数ポジションができる。3バックのストッパーならより競り合いの強さを遺憾なく発揮できる。セネガルのクリバリ(ナポリ)ら190cm台の相手がパワープレーに出てくることを考えると、彼のような185cm超のDFは入れておくべきだ。