■連載/阿部純子のトレンド探検隊
JR東海の「そうだ 京都、行こう。」では昨年に続き、万緑の京都を楽しむ青もみじの旅を提案している。
JR東海ツアーズの「青もみじ御朱印めぐり」(9月30日帰着まで)は、往復指定新幹線と宿泊(日帰りプランもあり)に加え、ツアー参加者のみの特典として、乗り降り自由な京阪電車・叡山電車1dayチケット(特別版)、京都地下鉄・嵐電1dayチケットの1日乗車券が付いてくる。京都市内を効率よく周遊するにはとてもお得な特典だ。
「青もみじ御朱印めぐり」の旅行商品限定の特別御朱印授与券の特典もある。対象10社寺のうち2社寺は特典の授与券で、3か所目以降はチケット台紙を見せれば1か所につき300円で特別御朱印の授与が受けられるので、10寺社すべての特別御朱印をいただくことも可能。
さらに今年は、人数限定の瑠璃光院の夜の特別拝観や、貴船神社の新緑ライトアップと、夜の青もみじも楽しめる企画もあり、日中の鮮やかな緑とはまた違った幻想的な青もみじもまた一興だ。
◆瑠璃光院
「そうだ 京都、行こう。」の特別企画として、瑠璃光院ライトアップ拝観と叡山ケーブル往復乗車券が付いた「京都洛北 八瀬もみじの小径ライトアップと瑠璃光院 夜の特別拝観」(税込6000円)を販売する。2018年5月12日~6月20日までの土、日計10日間、1日150名限定というレアな商品で、瑠璃光院の夜間貸切ライトアップ、八瀬もみじの小径ライトアップ、叡山ケーブルのケーブル八瀬駅、ケーブル比叡駅のライトアップを見ることができる。
風光明媚な郷として平安時代から貴族や武士に愛された保養地の八瀬。八瀬の郷にある「瑠璃光院」は1万2000坪の敷地に3つの庭と数寄屋造りの書院がある隠れた名刹。大正末から昭和初めにかけて、京数寄屋造りの名工として名高い中村外二の手による延べ240坪に及ぶ数奇屋造りの書院と、自然を借景とした庭を造営した。築庭は佐野藤右衛門一統の作と伝えられている。
通常は非公開だが、春と秋の年2回のみ特別公開している。もみじや馬酔木(あせび)、カエデなど季節ごとに異なる風景が美しく、ひっそりとたたずむ静謐な空間だが、数年前からインスタグラムなどのSNSで話題となり、海外からも多くの参詣者が訪れるようになって、混雑する時期には4時間待ちとなることもある。
山門を入って石段の参道を上ると「山露路(やまろじ)の庭」が。敷地内には樹齢100年を超える花馬酔木が群生しており、もみじが頭上に生い茂る。また数十種類のカエデもあり、春には青もみじ、秋にはもみじとカエデの紅葉が楽しめる。
主庭となるのが、もみじと数十種類の苔のじゅうたんで覆われた「瑠璃の庭」。
「朝露や雨上がりになると苔の一面に露がつき、木漏れ日が差し込むと青白く、庭全体が輝くときがあり、その様子が瑠璃石、瑠璃光に見えることから瑠璃の庭と称している。瑠璃石、瑠璃光は経典などにも出てくる、極楽浄土を飾る尊い色だといわれている」(瑠璃光院 中村 千里執事長)
瑠璃光院では参詣者に写経を勧めており、書院の2階は写経の場になっている。ここで写経し本堂に奉納するが、写経机に映り込む紅葉のもみじ、春の青もみじの写真がSNSを通じで世界中に拡散し、近年は中国などの外国からも多くの参詣者が来ている。左の画像が書院の2階から見たライトアップされた瑠璃の庭。右の昼の青もみじとは異なる雰囲気の風景が出現する。
本堂を通って下屋敷の方へ移動すると「臥龍の庭」がある。湧き出る比叡山の伏流水を庭に引き入れた、水の流れと岩で構成された池泉庭園。池の中心にある大きな岩を龍の頭、屋敷から山までを巨大な体に見立て、龍が伏せて水を飲んでいる姿を表現している。臥龍の庭を望む茶庵「喜鶴亭」は明治の元勲・三条実美が命名し、瑠璃光院には三条実美直筆の命名額が飾られている。
春と秋の特別公開の際には、本山である光明寺が所有する、江戸時代の屏風「月次風俗図屏風」、室町時代の掛け軸「阿弥陀如来迎三尊図」を特別展示。瑠璃光院の名の由来となったアフガニスタンで産出された瑠璃石(ラピスラズリ)も飾られている。また、貸切ライトアップの際には、不定期で楽器演奏も行い幻想的な庭を演出する。