■正義のために戦う仮面ライダー
───お二人にとってヒーローとは?
倉田:子どもの頃の僕にとって藤岡弘、(『仮面ライダー』本郷猛役)さんや、宮内洋(『仮面ライダーV3』風見志郎役)さん、村上弘明(『仮面ライダー (スカイライダー)』筑波洋役)さんは大人の人。ヒーローは正義のために戦う選ばれた大人ですね。僕が演じた南光太郎はまだ18歳で自分が憧れていたヒーローとは違うんです。だから、親しみやすくて愛される人が正義のためにがむしゃらに戦うという新しいヒーローを作ろうとしました。
岡元:いろいろやってきていると一概にヒーローだけがヒーローじゃない、ダークヒーローもいる。「悪はヒーローじゃない」っていうとそこは難しいですね。RXの敵役であるクライシス帝国は地球の環境汚染のせいで自分たちの星が危機に陥ったわけだから、どちらが正義かと言われたら分からない。難しいですよね。間違ったことをやっていないという意識の高さ、常に信じる力を持った人がヒーローなのかな。
倉田:『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』(2015年3月公開映画)に出演したときに「子供たちの夢を守り、希望の光を照らし続ける。それが仮面ライダーだ!」と正義のために戦う仮面ライダーとしてメッセージを残しました。そういう役目を果たせる位置にいることを誇りに思うし、それが次郎さんと一緒に作り上げた仮面ライダーBLACKであり、仮面ライダーBLACK RXなんだと思っています。
■アクションは若い連中に負ける気はしない
───『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』で倉田さんが南光太郎を演じられたのは『仮面ライダーディケイド』(2009年)の第26・27話、劇場版『仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』(2009年8月)以来、久しぶりでしたね。
倉田:実は南光太郎を演じるのは『ディケイド』で最後のつもりでした。でも『仮面ライダー3号』に出演するお話をいただいたときに、そういう仮面ライダーとしてのメッセージを授けて欲しい、ファンも喜ぶから、とおだてられてしまったんです。変身は青春の思い出で、もう明らかにオッサンになっているので恥ずかしかったですね。映画に出ているのは南光太郎というか、倉田てつをですよ。光太郎に戻ったという気持ちよりも倉田てつをとして出ています。
岡元:自分の中にもファンの中にも、昔の光太郎のイメージが残っているけれど、実際には30年経っているんだからね。
倉田:「倉田もオッサンになったな」って言われるのがオチでしょ(笑)。
───でもかっこいい歳の取り方をされているとみんなが思ったはずです。
倉田:役者ですから。でもヒーローは別モノ、僕は抵抗があるんですよ。もう『仮面ライダー3号』が最後のつもりでやりました。次郎さんのRXはそのままでしたね。
岡元:気持ちは変わってないけどね。でも何かしら変わっていてそれがいい方向に行けばいいんじゃないかな。違いをいい方向に感じ取ってもらえれば。
倉田:たぶん、僕も次郎さんもアクションは若い連中に負ける気はしないんです。翌日がきついけれど(笑)。昔よりもいい動きができると思いましたもん。僕も筋トレしてますからね。やっぱり容姿ですよ。
岡元:いやいや、それぞれ人はいい歳を重ねて。
───仮面ライダーの容姿は変わちゃダメですよね……。
岡元:だから突然言われると困りますよね、準備期間がないと。
倉田:でも若いスーツアクターが演じるのは違うよね。岡元次郎が演じているってだけで温かいファンは涙してくれるんです。50歳を過ぎた現役スーツアクターがどれだけすごいことなのかファンも分かっているんですよ。次郎さんにはずっとスーツアクターをやって欲しいですね。アクション監督とかになって「よ~い、スタート!」なんて言って欲しくない。「アクション監督・岡元次郎」なんて絶対に嫌だ(笑)!
■どれだけ再現しているか楽しみにして欲しい
倉田さんの衣装:ジャケット、Tシャツ/SHIFFON、パンツ/J.Ferry
───今回、『仮面ライダーBLACK RX』30周年を記念して、リボルケインが商品化されました。
岡元:よくできています。当時は蛍光灯や合成で苦労していた電飾がちゃんと再現されています。どれだけ再現されているかみなさんも楽しみにして欲しいです。
倉田:30周年にふさわしい商品ですね。僕は30年前に戻って(笑)、内蔵されている南光太郎の声をやらせてもらいました。『仮面ライダーBLACK RX』を観たことがない方は、ぜひこれを機会に観て、リボルケインを手に入れてください!